ロワール河、朝の音色

※環境問題への取り組みの一環として、作品リーフレットを電子化いたしました。
ご家庭でプリントアウトしていただくことも可能です。
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フランス中部から大西洋へと流れる、ロワール河。
その河畔の町、ソーミュールにて――

早朝。朝霧が白く立ち込める中、散歩に出た。
陽が昇るにつれ、川沿いの風景はくっきりとし始める。
橋の上で立ち止まって、東の方角を見やれば、
光さす大河の光景が、穏やかに広がっていた。

＊　＊　＊

河面を渡りくる清々しい風の音が、
静寂の中で、まるで笛の音(ね)のように心に響く。
耳にも心にも心地よく届いた風が見せてくれたのは、
川岸の葦(あし)で作った横笛を奏でる“河の精”。

美しい一日の始まりの風景と、
清廉なメロディの象徴としての精霊の姿。
澄んだ色の点を、一筆一筆･･･重ねていった。

その清らかな光が、静かに心を浄化してくれるようにと。

笹倉鉄平

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