チェコやポーランドとの国境に近い、旧・東ドイツの町マイセンの名は、
高級陶磁器のマイセン磁器によって、世界中に知られている。
厳冬の日、雪の降り積もった町を歩いていた。
マイセン磁器発祥の原点としても有名な、アルブレヒト城へと至る
旧市街の中、美しい石畳の道だった。
途中、小さな塔のような造りのアーチを潜り抜けた時、
そこに在った”光”の様子に、視線を奪われて思わず足が止まった。
手はかじかみ、耳や頬まで痛く感じるような、キンと凍てつく空気をぬって、
薄暗いアーチの中にまで差し込んでいた光――
それは、どこか甘い色で
冷え切った身体まで、ふんわりと温まるようだった。
雪の降り積もった家並みの、青い陰影に包まれた景色だからこそ、
光は、あまりにも優しく、より魅力的に心へと届いたのだろう。
笹倉 鉄平
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