10年程も前から、訪れる度に”描こう”と思い続けてきた――
まだ真っ暗な、早朝の精進湖畔に立つ。
周囲は、何も見えないほどの濃い霧と張りつめた静寂に包まれていた。
薄明の後、太陽が昇り始めたのか、雲も霧も動き出すと、
真っ白だった空間から、湖面が少しずつ現れ出す。
そして、ようやく富士山が、頂上辺りからゆっくり姿を見せ始めた頃、
辺り一面、まばゆいばかりの朝陽に包まれた。
浮世絵の時代から現代まで、数多(あまた)の画家たちが、
それぞれの画風、工夫、オリジナリティを追求した表現で、
様々に富士山を描いてきた。
頭の中で、少しずつ、少しずつ、練り上げられてきていた、
自分らしい”光の富士””虹色の富士”といったイメージが、
最近になって、表現できる像として結ばれた気がしていた。
長い間、待ち望んだ通りの光の中で、美しい富士を目の前にして・・・
「今の、この印象を、描きなさい」と、語りかけられたような気がした。
笹倉 鉄平
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