カンボジアへ行ってきました

やっと春ですね――不思議なもので、気持ちまで軽くなってくるような気がします。
冬の間、何かと忙しくしておりましたが、ここへきてようやく一山越えたことで尚更なのかもしれません。

さて、前々回ここでひと言だけお伝えしておりましたが、極寒の2月上旬に再びカンボジアへ行ってきました。
貧困や家庭の事情で学校へ行かれない子供達が通える学校を作り、その支援活動を続けていらっしゃる有志の皆様と、ご一緒させて頂きました。(詳細は『アトリエから』の、2008年01月24日「カンボジアでの休日」をご参照下さい。)

2年前は、約180名と聞いていた子供達の数が、世界的な不況の影響などもあって、現在は100名ほど増えているのだそうです。
今回は、東京と京都から、(それぞれが色々な形でチャリティに関わっておられる)10名のグループで訪ねました。

ざっくりとではございますが、撮ってきた写真を添えてお伝えしてみたいと思います。

280名ほどいるという生徒たちが、ズラリと並んで、我々の到着を歓待してくれました。
その後、歌のプレゼントということで・・・元気で楽しい歌を、役割分担や振り付けまでして披露してくれました。
きっと全員で何度も練習したんだろうなぁと思われるその様子に、「来てよかった。こちらこそ、ありがとう。」と、胸が温かくなました。

子供達一人一人に、全員でお土産やお菓子などを手渡ししてゆきました。
(私は今回、折り紙セットと英語の折り方本を、授業で使ってもらえる様にと、別途校長先生に託しました。)
照れくさそうに、嬉しそうに・・・受け取る子供達の表情は色々でしたが、無垢な瞳の輝きは変わらず心打つものがありました。
右側は、これまでの支援で新しく作られた新しい教室。壁はありませんが、増え続ける人数への対処は急務の様です。

今回の訪問の一番大きな目的は、体調の芳しくない子供に対する診療でした。(カンボジアは、人口当たりの医師数が世界でも最低水準で、薬や医療器具等にも乏しいというこの地では、医療を受けることすらなかなか難しいとのことでした。)
京都小児科医会の会長でもいらっしゃる竹内宏一医師が、50名ほどの色々な症状を訴える子供達を1人1人診てゆかれました。
全体には栄養状態の悪い子供が多く、虫歯の多さや回虫による慢性的なお腹の不調、怪我の後遺症、などが目立ったそうです。また、迷信的なことで薬を正しく利用出来ていなかったり、間違った民間療法を信じていたり、未熟な外科診療による症状の悪化が見られたり…など、基礎的・教育的な部分での今後の課題は大変多いことを感じました。

診察を受けている仲間を見守りながら、自分の診察順を待つ女の子たち・・・少し不安げな様子。
右側は、教室に貼り出されていた子供達による猿を描いた絵。学校の周りの林には野生の猿が多くいるので…いつも身近に見ているからこその、リアリティあるポーズと動きのサル四態でした。
昼間は35度を越える暑さの毎日で、真冬の日本へ戻った時は、夢だったかの様に思え、今では既に遠い昔の様な気がします。

アンコール・ワット等の素晴らしい遺跡から窺い知るクメール文化の素晴らしさを学び、誇りを持って継承していってもらう為にも、子供達に教育を受ける機会と、それ以前に、全ての基盤となる健康を守る医療体制の確立の必要性を実感した今回の旅でした。
元気をもらうことが出来る彼等の笑顔を絶やさない為にも、何が出来るのか・・・引き続き宿題は多いのでした。

*        *        *

ところで、話はガラリと変わりますが、(私にとって)ちょっと嬉しいニュースがあります。
新しい画集が、この初夏に出版される運びとなったことです。
正式な日にちまでは決まっていませんが、6月後半から7月にかけての辺りには書店に並ぶのではないかと思います。
もう暫くすると、詳細も分って参りますので、その時にまた詳しくお話させて頂きます。
取り急ぎ、お知らせまで。

笹倉鉄平

2010

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