新しい画集が出版されます
桃の節句も過ぎて、いよいよ春本番が近づいてきました。
陽射しの暖かな日などは、ただそれだけで幸せな気分になってきます。
今は、二十四節気(にじゅうしせっき)でいう、「啓蟄(けいちつ)」を少し過ぎたところですが、ひとつ前の節は先月19日の「雨水(うすい)」でした。
これは”雪が雨に変わり、氷や地面の雪が解けて水となる”時節のこと。
たった漢字二文字だけのことなのですが、春を待ち望んでいる時期の気分をよく感じ取れると思います。
丁度、去年の今頃に厳冬のドイツを訪ね、正にそんな”雨水”に憧れる気持を描いてみようとしたのが、先日発表された「ローテンブルクの雨」という絵でした。
ここのサイトの写真では、全体的に色が原画より薄く浅くなっていますが(もちろんご覧になるPC設定によっても異なると思いますが)、実際には空はもっと濃く落ち着いた色で、逆に建物や人物などは鮮やかな黄色やグリーンを多用しています。
ここでは正確に再現出来ないのが残念ですが、ただ、そんな季節にピッタリの気分で描いていたこの作品を、丁度その時期に発表出来たことはうれしく思います。
こうした二十四節気や七十二候(しちじゅうにこう)、雑節(ざっせつ)、また季語や年中行事など・・・「シーズンズ」の作品コメントでも少し触れましたが、日本人は季節を愛でる心や上手な季節との付き合い方を、昔からとても大切にしてきたと思います。
そこで、”めぐる季節”を、絵で味わえる様な画集を作ってみたくなりました。
前回このページに書いていた”制作の合間に行っていた仕事”というのが、この画集のことでした。まだ出版時期など未定の部分が多く、詳しく書けなかったのですが、今月中には出版されるものと聞いています。(…とは言え、あくまで予定です。
詳しくはこのサイト内で後日お知らせ致しますので、今暫くお待ち下さい。)
以前に出版されている画集には載っていない作品で、パステルや淡彩などで人物を中心に描いた作品を主体に構成することにしました。
つい先頃仕上がったばかりの未公開の作品も、2点入れることが出来(間に合い)ました。
タイトルは、『笹倉鉄平詩画集/やわらかな季節の中で』です。
詩画集とは言え、絵のそばにいくつかの短い単語が並んでいたり、短い文が一、二行添えられているだけ・・・といった、とても詩とは呼べないようなものばかりです。
どうぞ、”読み応えタップリの詩”などを期待しないで下さい(笑)。
あくまで画家が本業で、文章の方は”ド”がたくさん付いてしまう素人ですので・・・。
2000年に出版された画集では、絵では表現出来ない類いのメッセージや、独り言めいた事を短めの文で載せましたが、今回は、先ほどの”季節を意識した言葉”やら、絵を描いていた時にひらめいた単語、その時胸中を巡っていた言葉などを書き留め、余分を削ぎ落としながら出来るだけ短くした形で、絵を観る時の薬味代わり(胡椒や七味唐辛子の如く)になればなぁと思って添えてあります。
皆様の応援のお蔭で、2000年出版の「笹倉鉄平画集」(求龍堂)は増刷を重ね、現在第三刷に入っているという好結果となっているそうです。
また、学校などの”図書館で初見しました”といったメールも度々頂戴しており、とても嬉しく思います。
多くの方々にご支持を頂けたこと、喜ばしい気持と共に、この場をお借りして厚く御礼申します。
新しい画集はまだ製作途中で、これ以上ご説明出来ない段階ですが、今までの私の画集とはまた一味違ったものになると思われますので、実は自ら、完成を楽しみに待っているところです。
そして、もうすぐそこまで来ている本格的な春の到来も楽しみに待ちながら、制作にいそしむ今日この頃です。
笹倉鉄平