ブルターニュ(フランス)より

今、フランスの北西部「ブルターニュ地方」にいます。
日本はずいぶん暖かいそうですが、ここは年間の降雨日が約200日といわれる地域なだけにやはり雨が多く、また沿岸部は風も強いので肌寒く感じます。
少々オーバーかなと思うぐらいに防雨、防寒対策をしてきたので助かっています。

ブルターニュ(Bretagne)の語源はブリテン島(Britain)つまり英国に由来しています。
「フランスにあってフランスではない」といわれている地方で、ケルトの文化が強く一部ではゲール語も残っています。
妖精と共に生きたケルト人の文化は、最近の映画「ハリーポッター」や「ロード・オブ・ザ・リングス」のベースの中にもかい間見られ、興味深く思いますので帰国後にでも改めて書くとしましょう。

ところで今回の旅はいつもと違い、早々にイメージにピタッとくる光景に出会うことが出来て幸運でした。(たまたまとはいえ、こんな事はめったにありませんが・・・)
お陰で予定外の場所に足を伸ばす事も出来、幾つかの心に残るシーンにもめぐり会えて、よい成果を得られました。
また、心に余裕が出来たお蔭で久しぶりに友人(ロンドン在住)にも会うことが出来ました。
何枚か写真を撮ってくれていたので、今後、こちらのページなどでも掲載していこうと思います。
毎回、海外へ出かける度に、このように現地リポートをお送りできれば良いのですが、いっぱいいっぱいの事が多く、昨年のリポートは「シチリア島」の1回だけになってしまいました。

さて前回の続きですが、国内外を問わず私にとって「旅」とは絵の「勉強の場」なのです。
あくまで「仕事」でもありますので、皆さんの考える「旅」とは少し違っているかもしれません。
はじめて見た光景に感動した時は「それを絵としてどう表現すればよいのだろう」から始まりますが、それ以前にそんなシーンに巡り会えるかどうかも問題なので、出かける度に移動手段やアプローチ方法などを変えたりしています。
偶然にも心に響く景色を見つけると、近くにしばらく宿をとり、昼間、夕方、夜、そしてまた朝と、道を覚えてしまう程何度もその場所に通うのです。

写真のように正確に描くのでしたら、すぐにでも制作にかかれるのですが、私が目指しているのは自分自身の中をくぐって出て来た「自分の絵」なものですから、イメージがはっきりとした像を結んでくれるまで、その場でずっと眺めてはタメ息をつく繰り返しになってしまいます。
特に夜景が好きな為、ディナーの時間帯はもちろんその光景を見ている側にいて、とても大切な仕事の時間にあたりますが、お酒もほとんど飲めないので、別段うらやましくも感じません。
ただ、夏以外はやはり寒く手がかじかんでしまい、それが少しこたえます。

いわゆるショッピングもほとんどしないので、楽しみといえばカフェに入ることでしょうか。
一日に何度かは疲れた足を休める為に立ち寄りますが、国や場所柄でバライティに富んでいるので飽きることがありません。

また、知らなかった文化や人々の暮らし、そして生き方に触れることによって胸中に湧いてくるものが、絵の題材となることもありますので、交通の便の悪い田舎まで足を伸ばすことが多いのです。
今回も鉄道が走っていない地域へも出かけましたので少々疲れました。

今、帰り支度をはじめています。
珍しいほどの短い日程でしたが、早く帰って大きなキャンバスに向かいたくなってしまったものですから・・・。
このつづきはきっと次回に、では。

笹倉鉄平

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