パリでの個展を終えて・・・
半月におよぶパリでの個展も、先日無事に閉幕し帰国しました。
いやぁ、それにしても毎日暑いですね。ヨーロッパの超乾燥した夏は、多少辛く感じる時もあり、確かに潤いを欲してはいました・・・が、この潤い過ぎ(笑)の猛暑は、旅の疲れもあるのでしょうが、正直なかなか身体に堪えております。
さて、前回先に戻るスタッフに託して”速報”をしてもらった、パリでの個展の模様、早速続きをお伝えすることと致します。
展示会場は、内部のお写真をご覧頂きました様に、大変古い建造物で、中世時代の石壁にゆがんで曲がった木の梁が何本もむき出しになって並んでいるような、趣深い空間でした。
その中に、パリと京都を描いた絵を展示したのですが、京都の風景も、違和感なく極めてヨーロッパ的なその環境にしっくりと収まっている様に感じられました。それは、もしかしたら私が”印象派の光の表現”に強く影響を受け、日本らしい情景にもその光を注ぎ込みたいと常に意識して制作をしてきた絵だったから(?)・・・であればよいのですが。
(“印象派の光の表現”については、良い機会ですので是非お話をしたいのですが、今回は焦点がぼやけますし、長くなってしまいそうですので、近いうちにこのテーマに絞り丁寧に書かせて頂こうと思っています。)
ところで、私にとってパリの街というのは、ファッションや美食や歴史的遺産の街であるよりも、いつも”美術の街”という印象であり続けています。
ご存知の様に、印象派の舞台の中心は19世紀後半のパリでしたし、その後20世紀前半には、「エコール・ド・パリ」と呼ばれた、出身地も画風も様々な画家たちが世界各地からパリを目指して集りました。
イタリアからはモディリアニ、ロシアからはシャガール、そして日本からは藤田嗣治など、またフランス人画家であるルソー、ユトリロ、ローランサンら・・・この時代、パリという街自体が芸術を志す人たちにとっての”エコール(=学校)”だったのだと思います。
そんな多くのアーティストたちの活動の舞台であった街であり、絵の勉強を始めた少年時代からの思い入れ深い地で、自らの展覧会ができたことは、なんだかほんのちょっぴりだけ自分もその隅っこに仲間として身を置けたかの様に感じられて(独りよがりに過ぎないのですが)、なんだか感慨深いものがありました。
それよりも、日本人画家の一人として、京都の情景を通して日本独自の一面を、パリの方々に観て頂けたことの方が、むしろストレートな喜びでした。
今回の個展は「パリ・京都姉妹都市締結50周年記念」での開催でしたが、パリや京都の方々には勿論のこと、それ以外の出来るだけ多くの方々に日本文化や日本のことに興味を持ってもらうきっかけになることを願いながら制作をしてきました。
それが少しでも叶っているとよいのですが・・・。
会期初日には、フランス式(?)でのオープニング・パーティがあったのですが、絵画、工芸、写真など各分野のアーティストをはじめ、美術誌の編集長の方や美術愛好家、また在フランス日本大使館からは高原公使をはじめ関係者の方々、パリ在住の日本人画家、日本人会の方々、アメリカ等からの観光客、パリ郊外からもお手伝いに来て下さった地元の方々や在仏韓国人の方々・・・etc.と、出身国も様々な幅広い人たちがいらして下さり、”コスモポリタンな街・パリ”らしい展覧会だなぁと実感しました。
今回フランスで製作した個展目録に、筆ペンで漢字のサインをし落款を押したりしていると、珍しいのか閉会近くまで延々”にわかサイン会”となってしまい、上記の様な感慨をしみじみと味わう間もなく時間はドンドン過ぎ、後で思えば、少し寂しかった様な気もしています(苦笑)。
この時の様子や感想のインタビュー等は、スタッフがビデオに収めておりましたので、またきっと編集して、この後の再現の展覧会で見せてくれることと思います。
この個展の開催に際し、京都市役所・国際化推進室の皆様には企画段階から長々とお世話になり通しでした。
パリ市とのやりとりや現地でのコーディネイト全般をして下さった松本さんとスタッフの方々、会場展示での細かい部分までご配慮頂いた早崎さん親子、お力添えを下さった在フランス日本大使館の関係者の皆様、企画スタート当初より暖かいご協力を頂きました内田会長と山野さん、また、京都商工会議所の福永さんは、何かにつけ快くご相談にのって下さいました・・・・・・ここに全ては書ききれないほど多くの皆様の支えがあってこそ、と振り返っております。
こういった活動の度に、多くの方に助けられることへの幸運を実感し、感謝せずにはおれません。
そして、今これをお読み下さっている、いつも応援を頂く方々へは勿論のこと、皆々様へ心から御礼申し上げます。
※ ※ ※
この暑さは暫らく続くことでしょうが、皆さん熱中症などに気をつけて、無理はしないようにご自愛下さい。
私も、少しは”ご自愛”しつつ(笑)、このハードそうな夏を乗り切りたいと思っております。
笹倉鉄平