パリでの個展、日本で再現します
前略にて失礼致します。
先日(9月12日)、パリ内外16の美術館から集められた絵画・彫刻・写真による「パリ100年展」(於・京都市美術館)の開幕に合わせ、パリ市よりブロッセル副市長が関係者とご一緒に来日され、京都市主催による歓迎レセプションにご列席されました。
光栄にもそのお席にお招き頂き、ブロッセル氏にお目にかかる機会に恵まれましたので、今回のパリ個展の目録画集を直接お手渡しして、お礼をお伝えすることができました。
さて、前々回このページにも様子を書きましたパリでの個展ですが、日本でも同じ内容の展示で再現をする展覧会が正式に決まってきているようで嬉しく思っております。
現在は、本来パリに出展するつもりで下描きだけして間に合わなかった作品を、その展覧会に間に合わせるべく、今更ながら、最後の仕上げを進めている真っ最中です(苦笑)。
実際のところ、自らが目指した「パリでの個展の全容が、大阪や東京などの会場でついに完成!!」といった感じです(我事ながら少々大袈裟ですが…)。
ところで、上述の副市長へもお渡しした個展の目録画集ですが、フランスで製作されたもので、つい先日船便にて東京のオフィスへ到着したようですし、この後の展覧会にはきっとお目見えすることでしょう。
そこには、ページ右側に京都の景色、左側にパリと、見開きごとに何処か似ている二つの街の情景が二枚一組となって掲載されており、それぞれの作品の下には、フランス語の説明文が小さい文字で一行入っています。
ちなみに、フランスの方々にも京都の絵をわかりやすくお見せ致したくて、個展会場でもそれと同じ一行をタイトルのキャプションの下に掲示しました。
こちらの会場でも、その短い文を日本語訳したものを同じ形でそれぞれの絵の下に添える予定です。
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図録表紙にもある「Reflet Paris, Kyoto」――これが、パリでの展覧会タイトルでした。
日本での再現展のタイトルとして、この「ルフレ・パリ・京都」は分かりづらかったので、「遠いようで近いパリ・京都」展、と致しました。
一見、遠く離れた別世界のように思えるパリと京都の街ですが、長い年月に磨かれてきた繊細で洒脱な美的感性――平たく言うならば、「センスの良さ」とでもいう部分に、相通じる何かを感じてしまうのです。
時として、京都もパリも、他の土地の人からは「排他的」と言われてしまうことがありますが、最近、それはむしろ「良いことではないだろうか?」などと思ったりもします。
なぜなら、加速しながら進む現代のグローバリゼーションの流れの中、外から流入してくる物や資本や情報、そして考え方までもが、そのままの形で無条件にドンドン受け入れられてしまうとしたら…あらゆる場所が、同じ顔つきの個性のない世界になっていってしまうでしょう。
そんな画一化の大波を受け流しながら「個性」を大切に守り続け、また、”そのまま”ではなく巧みにアレンジを加えて取り込む感覚を持っているのが、パリであり京都の街であるような気がするからなのです。(もちろん他にも「個性」の大切さを尊重する、上記の様な、いい意味で“排他的”な街や地域は数多く在って、そんな場所ほど絵に描きたくなってしまうのですが…)
そんな両都市の二枚一組の絵画展示を通して、”遠いようで近い”人々の精神と、プラス”近いのに遠い”個性ある街の外見的な違いを楽しんでもらえれば…そして、街にとってであれ人にとってであれ、「個性」というものは大事なんだなぁと、思ってもらえたら嬉しく思います。
“人と同じでないと不安”、その延長線上には”皆が右を向いたら右”…といった感覚。それらも理解できなくはないのですが…。
街も人も、更には、国や文化だって、それぞれに「違う部分を認め合う」ことを基盤に持つことこそが、本当は大切なのではないでしょうか?
色々な争いごとが無くなるためにも。
…と、またしても大きな話になってきてしまい、恐縮です。
自分でも小恥ずかしくなってきたところで、筆を置くと致しましょう。
笹倉鉄平