カダケス再訪、こぼれ話
「カダケス」と「カダケス2010」――。
同じ作家が同じ場所を描いたとしても、20年という歳月を経れば、その作品は変わって然るべきでしょうし・・・変わらない方が、むしろ不自然なことなのかもしれません。
では、「現実の風景は20年を経てどうだったか?」・・・を、今回こぼれ話として、写真と共に紹介してみることにします。
まず何より、基本的な街の作りや規模、全体の雰囲気、人々の暮らし様などは、ほとんど変わっておらず、ホッと胸をなでおろしたのでした。
それでも、レストランや店など細かい部分では、記憶と違う所も勿論多々ありました。
代替わり、流行の波・・・と抗えない要素は沢山ありますから、絵以上に変わっていて当たり前かもしれません。
逆に、時流を読んで上手に変化をしてきたからこそ、むしろ大きな印象の隔たりを招くことなく、美しい街を守ってこれたとも言えるのでしょう。
以上、(絵的には)残念に感じた二例ですが、自分の描いた場所での直接的な変貌だっただけに、少しばかり驚きました。
同時に、絵にはとても大切なインスピレーション(アイデアの様なモノ)は、結構こういった自分が訪ねる時の偶然の重なりで成立しているのだと、改めて実感しました。
そして、この街の印象で最も大きな変化と思えたのは・・・中央に描いた教会を、美しく照らし出す夜のライトアップでした。
20年前は暖色系の温かい色のライトで照らされていたのに対し、今は青白い照明に変わっていたのです(恐らくエコロジー問題でLED系ライトに換えられたのでしょう)。
地球に優しい”エコ”には大賛成なのですが・・・あくまで個人的な趣味で言わせて頂くと、絵に描く上での雰囲気は、暖色系の光の方が正直好きなのです。
ですから、「カダケス2010」では、昔のライトアップ色を、敢えて再現してあります。
そういえば、「照明」については、こんな風にも思えました――。
灯りの色彩がどんな色だろうが、絵に描く分には、そこでの消費電力はゼロ。夜景を見ることを楽しむ、最もエコな手段かもしれません…CO2も出ませんし(笑)。
そう考えますと、絵の中では、もっと贅沢に沢山の明りを灯してみたいなぁ・・・と。
最後に脱線しましたが、以上こぼれ話でした。
笹倉鉄平