質問にお答えします Part.7

今回は、久しぶりの「お答えします」です。
暫く間が空いてしまい、その間に様々な種類の質問を様々な形で頂戴しておりました。

ただ、中には(自分の)絵に関する以外のことや、文章での説明が難しいお問い合わせなどもございまして、100%全ての質問へはお答えできませんでした。その点、お心広くご理解頂けますと幸いです。

さて、まずはお答えしやすい所で・・・絵画館の方へ頂戴しておりましたこんなお尋ねからスタートです。

Q.1 作品の中に犬がたくさん出てきますが、犬が大好きなんですか?中でも、どの犬種が好きですか?

A. ご指摘通り・・・はい、大好きです(笑)。ここ「アトリエから」の、2005年03月14日の回「ちょっと”犬”の話を・・・」には、詳しく書いておりますので、ご興味ございましたらご覧下さい。

好きな犬種につきましては・・・それぞれに違った魅力や個性があって選べませんし、犬だけではなく小動物の愛らしさには、結構簡単にヤラレてしまう方だと思います。
今流行りの”モフモフ愛好”とは違うのですが・・・見ているだけでも、心が軽くなります。それで、つい描いてしまうという側面もあるのかもしれません。

1990年代半ば頃、愛犬のビリー(ケアン・テリア)と・・・
ビリーは以前、絵の中にもよく登場していました。

Q.2  絵を描く時は、どんなことを考えながら描いているのですか?

A. その時に描いている一枚一枚に、毎回それぞれ違った”想い”を抱いて描いておりますので、それ以外のことは、出来るだけ頭から追い出すようにしています。

目の前に在る”描いている絵”に関することだけに思いを馳せながら、筆を動かすようにしているのです。
そして、そのまま集中が高まってゆき、気づけば、何も考えていない状態になっていた・・・というのがベストのようです。
(ちなみに、このホームページ等でも紹介されている、作品画像の下部に付されたコメントは、”どんなことを考えながら描いたか”を制作後に文章にしたものです。そちらを読んで頂けますと、分かりやすいかもしれません)

Q.3  (絵の中に)なぜ後姿が多いのですか?

A. これに関しましては、「やわらかな季節のなかで」という画集(2004年/求龍堂刊)の”あとがき”に、後ろ姿が多いことへの説明をしておりましたので、以下抜粋してお答とさせて頂くことでご容赦下さい。

ファコネのヴィーナス後姿(デッサン)  2003年 鉛筆 54.0×39.0㎝

『顔の表情などによって状況が限定されるよりも、そこに想像の余地が残されている方が、自分自身好きだからなのだと思う。この石膏デッサンのアングルでもそうだが、その表情が見え難い角度からの描写や、はっきりと分からない対象を、より描きたいと思ってしまうせいだろう』

そして、同じ文章の中では更に、水辺や水面を数多く描いているのも、水の表情が持つ”あやふやさ”に魅かれているからだ、と書いています。
・・・どうやら、カッチリと決められているもの、答が一目瞭然なもの、等よりも、想像をかきたてられるような曖昧な要素がちりばめられているものを描きたくなってしまうようです。

Q.4  90年代の作品は、描きたい絵を描いておられましたが、最近は時代に合わせて描いておられる様に感じます。少し画風が変わってきたように思います。時の流れでしょうか?

A. 画家になってから今現在まで、常に”描きたい絵”ばかり描いてまいりましたので、この問いを拝読した折、初めは???となってしまいました。と、申しますのも、絵を描く時には「描きたい」という想いが湧かない限り、描く意欲もおきませんし・・・そもそも、画家に転向した第一の目的が”描きたい絵を描く”ことでしたので・・・

また、”時代に合わせて描く”という描き方での作品が、正直どういう絵のことかもちょっと想像できませんし、逆に自分にはとても難しいことのように感じてしまいます。

時勢も環境も・・・確かに世の中は、時間の流れと共にドンドン流れて変化し続けています。
しかし、自らが自分の絵に求めている根っこの所は、この25年間一切変わることなく、その「原点」からはきっといつまでも離れようがないのだと思うのです。

勿論、絵を観て下さる方の感じ方も十人十色・百人百様ですので、どのようなご感想をお持ちになるかも色々あっていいのだと思います。

Q.5  「光」は、たき火、ろうそく、電球、蛍光灯、LEDへと進化しました。21世紀のLEDに輝く生活を、絵、版でどのように表現されるでしょうか。

A. LEDの照明は、”省エネ”でありながら明るい光を人々にもたらす素晴らしい発明だと思います。
ですが、世の中からたき火や蝋燭が無くなってしまうことはないと思いたいですし、その揺らめく明かりにいつも心魅かれます。

「光」は、人の心に希望を灯すものとして、常に私の絵にとって最も大切なものです。そういう意味では、人工の光のみならず、太陽光にも勿論同様に魅せられています。
これからも、様々な「光」や「灯り」を、様々な表情で描いてゆきたいと思っております。

取りあえず、今回は以上です。

笹倉鉄平

<スタッフ注> 掲載している質問につきましては、お問合せの内容部分のみをそのまま抜粋させて頂いております。