ロンドン、ケンジントン公園からノッティング・ヒルへ…

過日のことになりますが・・・

「朝霧のケンジントン公園」を描き上げ、いつもの様に作品のコメントを書いた後、ふと思い出したのが・・・「ネバーランド」という5年?ほど前に見た映画でした。"確かロンドンの公園が出てくるシーンが印象的だったなぁ"と。

そこで、DVDのジャケットにある紹介の文章を読むと『1903年、ロンドン。緑まぶしいケンジントン公園へ散歩に出かけた主人公は・・・云々』と、あるではないですか。

"正にケンジントン公園?"ということで、早速、DVDを見て確認してみることにしました。

すると、ちょっと前までキャンバスの中でずっと見続けていた絵と同じ場所でのシーンが(映画の設定上ベンチが置かれていたり、全く同じというわけではなかったのですが)登場し、びっくりすると同時になんだか不思議な感じがしました。

自分の描いた絵の世界観とは違い、20世紀初頭当時の味わいある衣装をつけた沢山の人々が往来しているのですが、同じ場所・風景での描写に、実際そこにいた時に感じたこと等を思い出して感慨深くすらありました。

この映画では、「ピーターパン」原作者ジェームス・M・バリー卿と一人の少年の優しい心のふれあいが、ピーターパン誕生の逸話と共に描かれています。ディズニー版にみる子供アニメ的物語としか認識していなかった私の思い違いは払拭され、その原作が大人も感じ入る深い物語であることを知ったものでした。

「ピーターパン」の物語誕生の地であるケンジントン・ガーデンズ内には、J.バリー卿自らが寄贈した記念のブロンズ像があり、愛らしい姿を簡単にスケッチしてみました。

ここには描きませんでしたが、ピーターの下の高い台座には、ウェンディと兄妹、ティンカー・ベル、小動物などが精巧に配されており、とても凝った作りでした。

さて、ついでの話になりますが・・・
ケンジントン公園の北西にある出口から暫らく歩くと、蚤の市とアンティークショップで有名なポートベロー通りに出ます。

この辺りは、ノッティング・ヒルという地区になるのですが、生活密着型店舗が立ち並ぶ庶民的なエリアと南側の高級住宅街が並立し、歴史的にコスモポリタンな一面を持つ為に芸術家も集まり、現在は洒落た観光地にもなっている、散策コースとしては諸々に楽しい一帯です。

いつもの様に"描きたくなるシーン"に出会えないかと、周辺をくまなく歩き回っていると、ある映画に出てきた「The Travele Bookshop」という、小さな町の本屋に偶然出会いました。

それは、10年ほど前に制作された「ノッティング・ヒルの恋人」という映画で、ハリウッドの人気女優と、この街角に旅行書専門の本屋を構える冴えない男が 偶然出会って恋に落ちる、というおとぎ話の様なラブ・コメディ。そのロケで、店名もそのままに使われた店舗でしたので、早速に興味津々で入って・・・すっかり長居をしてしまいました。

旅好きな自分には、その名前だけでもそそられる本屋さんです。旅行愛好家が多いイギリス人の趣味を反映してか、旅行に関する写真集から地図、ガイド、エッセイ等、大充実で、"ああ、こんな本屋が近所に在ったらなぁ・・・"と、思わず羨望のため息をひとつ(笑)。

・・・ということで、今回はいつもと毛色が少々違う"作品こぼれ話"をしてみました。

笹倉鉄平

2009年05月30日