「MUST 変換⇒ TRY」

昨冬が暖かかったせいか、この冬はやけに寒く感じますし、梅の便りを聞いた後も、天候的に荒れ模様の日が多かったように思います。
本番の春もやや足が鈍りがちのようにも感じてしまう今日この頃で、なんとなく焦らされている気分でもありますが、必ずやって来るうららかな春の到来を楽しみに待つこととしましょう。

このページをなかなか更新できなかったのは、ここの所ほとんどアトリエにつめて制作にドップリ浸かっていたせいもありました。
だからと言って、シビアな状態でそうしているわけではなく、自分にとっては贅沢にも思える様な"制作三昧"な毎日なのです。
以前にも書きましたが、冬場は特に、野外でスケッチをしたり活動的に取材に出かけるのには向いていません(気分的にも身体的にも)。ですから、この時期は大抵、自身で設けた制作の課題と集中して向かい合う"おこもり期間(?)"となることが多いのですが、それはそれでまた良いものなのです。

具体的には、挑戦してみたかった題材やテーマなどにまとめて取りかかったりしています。
「挑戦しよう」という気持ちをもって筆をとることが楽しくて、気分的な疲弊はほとんどありません(肩や腰は疲れてしまいますけれども(笑))。
何事も"~しなくてはならない"という感覚で臨むと、どこか息苦しく瞬発力が鈍ってしまいがちですが、とにかく"やってみよう"という気持に置き換えて事に当たれば、意外なアイデアもその経過の中から浮かんできたりして、むしろ大正解になることの方が多かったからです。

二十代の頃には、広告業界の過酷な締め切りに常に追われていましたので、「MUST(せねばならない)をTRY(してみる)に変換する」を、座右の銘にしていました(仕事以外の事柄でも)。
初めはなかなか上手に置き換えられず難しかったのですが、繰り返し繰り返し頭の中で変換作業をしているうちに、癖の様に身についてしまい、今では新しいことに取り組むこと自体がパワーの源になっているようにさえ感じます。

結果は考えず、とにかく手をつけ始めてみて、ダメなら途中で何回でも修正や方向転換をしてゆけばいい――そうこうしていると、だんだん納得のゆく絵に仕上がっていってくれるものです。
描き始める前から、それを芸術作品としてシビアにとらえ、百点満点の完璧な作品に仕上げなければなどと意識をしたら、筆なんて全く動かせなくなってしまうでしょう。とにかく描き始めてみようの繰り返しです。
それは決して絵の制作に関してだけではなく、さまざまな仕事のシーンでも似たような所があるように思えて…。

ところで、油絵の具は乾かないと上から描き直しづらい為、今は珍しく描きかけの状態で大小3枚もが並んでおり、とっかえひっかえして描いております。
ですから、まだしばらくは、そんな"お絵かき三昧"の幸福な状態(笑)が続きそうです。

というわけで、今回は文字通りの『アトリエから』でした。

笹倉 鉄平

2008年03月06日