今まで訪ねた町の中で、最も・・・

9月の東京大丸に続き、今回の心斎橋や盛岡での展覧会へも多くの方にいらして頂き感謝々々です。
特に、こちらの頁にも前回書いておりました新作の大きな作品「両手ひろげて」に関し、"これを見に来ました"とおっしゃって下さる方が予想以上に多く、サイン会の時に色々ご感想をお伺いでき嬉しく思いました。

先日のイヴェントでも「両手ひろげて」の裏話的なお話をさせて頂いたのですが・・・今回は、その時の話題の一つを、もう少し詳しく書こうと思います。
以下は、この絵の舞台、英国コーンウォール地方の小さな港町パドストウでの、余りにも印象深かった個人的幸せ体験話です・・・

「両手ひろげて」には、十数匹の犬を、小さいながらも描いておりますが・・・実は、実際にはもっともっと多くの犬たちが、小さな町を闊歩していたのです。特に土曜日は、何だか物凄い状態でした。
小さな町とはいえ、イギリスでは新鮮な海の幸のグルメタウンということで大変有名だそうで、週末には大勢の人々が(公共交通機関の便がとても悪い為)車で押し寄せるのです。しかも、そのほとんどが"家族の一員"たる飼い犬を連れて。

土曜日の午前10時をまわった頃からでしょうか、街はずれの大きな駐車場から犬連れの人達(更にかなりの比率で2~3匹連れ)が、ぞろぞろぞろぞろ・・・町の中心の方向へ、のんびりと歩いてやって来ます。そして、あれよあれよと言う間に、どこもかしこも犬連れの人々で埋め尽くされてゆきました。小さな町のこと、通りは狭く、歩く範囲もそこそこ限られていますので、角を曲がっても、町の奥へ向かっても、埠頭の反対側へ行っても、右を見ても左を見ても振り返っても、常に視界の中に10匹ほどの大小様々・色々な種類のわんちゃん達がクンクン、ウロウロ――犬好きの自分にはにかなり嬉しい状況でしたが、そのあまりの多さについ笑い出してしまったほどでした。

<土曜日の港町パドストウ。この様なシーンが延々と町中に・・・>


確かに、長閑で微笑ましい風景ではございましたが・・・これを事実として絵に描くとなると、話は別でした。
下描きの折には、実際の数ほどの犬を描き始めてみたのですが、逆に不自然さを感じてしまい、実際にいた数よりは大分少なく、違和感を覚えない数に調整して描いてあるのです。

ただ、今まで旅してきた中でも、いわゆる"人口密度"ならぬ"犬密度"がこんなにも高く、一時にここまで沢山の犬達に会った経験は初めてのことで、何だかとても印象に残りました。
今度は是非、"猫密度"高い町にも出会ってみたいものです。

笹倉鉄平

2017年10月23日