本屋さんで思う

ここ暫く仕上げ段階の絵に取りかかりきりで、時間的な余裕が無く・・・新しい画集の発刊が気になりつつも、書店へ足を運べないままでおりました。
ようやく先日、普段よく立ち寄る書店へ行き、美術コーナーに自身の画集が並んでいるのを目にすることが出来ました。

自分の作品集が出版される事実が分かっていても、既に何度か経験していても、日頃利用する本屋にそれが並ぶのを実際に見ると、胸の奥からじわじわっと静かな喜びが沸き上がってきます。そして、変な言い方ですが「実感がわかない」という、不思議な感じも一緒に・・・。
それは「本屋さんへ行く=自分への小さなご褒美」という図式が、若い頃から有ったことに起因している気がします。

学生時代から今でも、本屋へ行くとまず向かうのは、デザイン関係の本が並ぶエリアで(優れたデザインに新鮮な色の組み合わせ等を見つけハッとしたり)、次には大抵そのすぐ側にある美術書エリアへ(色々と触発されながら)、更に移動して旅行本のある場所へ(最新の情報や紀行文などチェックしつつ)、大きな書店で時間が許す折には、洋書絵本ものぞいてみたり・・・と、それぞれのコーナーへこの順番で足を運ぶのが習慣化しています。
未だ知らない絵や作品、未知の世界等々と新たに出会える機会、つまり本たちを手に取ることは、心が喜ぶ"ご褒美"なのです。

そして、そんな"夢や憧れとの出会いの場"に、今、自分の作品集が仲間入りしていることに、信じられないような、少しだけ気恥ずかしいような思いがあって・・・「実感がわかない」のかもしれません。

本屋の一角で、自分の画集も知らない誰かの目に留まり、手に取られ、作品を見てもらう――それが楽しく胸躍る"偶然の出会い"の一つになってくれたら―――
新しい画集が置かれた本棚の前で、一瞬ボォ~っと思い巡らせていました。

笹倉鉄平

2017年03月31日