真夏のクリスマス?!

ここ何年かは、雪景色やクリスマスを主題にした作品を秋に発表してきました。
春・夏に"冬景色"を楽しむことは、一般的な日本人の感覚には違和感もあろうかと、自然と冬の足音も聞こえる今頃の発表となるのです。

意外に思われるかもしれませんが、そんな冬景の作品・・・実は夏に描いていることが多いのです。
夏のうだるような暑さに疲れてきて、"もう冬なんて二度と来ないのでは?"などと追い詰められた頃に(笑)、一種の"あこがれ"の感情を心に湧かせながら描くというのが良いようです。

「お手伝い」 2011年 油彩

クリスマス・シーズンを迎える12月のヨーロッパ各地の気候は、大概日本よりもかなり寒いです。
かじかんだ手を息で温めながら戸外でスケッチし、資料の写真などを撮りながら、構図やテーマ、表現などを現場の空気に触れながら想像し練り上げ・・・などしているうちに、体の芯まで沁みる寒さと寒風に居ても立ってもいられなくなってきます。
正直、寒い土地に行けば行くほど戸外にいられる時間も短くなり、寒さも段々と"痛い"感じになってくるほどです。

そんな厳しい"極寒"の記憶であっても、うだるような暑さの夏になり、季節はずれのクリスマス・ソングを次々流しながら、キャンバスに向かい筆を運んでいると、冬に持ち帰ったイメージが良い方向に醸造され、憧れや夢まで増幅させて描けるような気がしています。
それは、なんとも説明しづらい感覚なので、困ってしまうのですが・・・。

今回の新作「ブルー・スノー」も、そんな風にして完成しました。
今夏は猛烈に暑かったせいか、よりクールな色調になったような?・・・気がしております(笑)。


さて、キリスト教圏であるヨーロッパのクリスマス・シーズンは、クリスマス・アドヴェント(=待降節)と重なります。クリスマスまでの4週間、11月30日に近い日曜日から始まる所が多いそうです(宗派・慣習などで様々なようですが)。
今年は『クリスマスを描いた原画展』のスタートが11月最終週ですので、ちょうど良いタイミングとなりました。

前述の新作「ブルー・スノー」の原画や、かなり懐かしい昔の作品の原画も数点、ご所有の方のご好意により今回お借りして展示できることとなっております。また、「エデルシュタイン村へ」等の大きな作品(原画はジクレ作品よりもだいぶ大きいのです)から、小さなキャンバスやスケッチ作品も、計9点ほど初公開させてもらいます(今もまだ制作中ですので、完成後ホヤホヤな状態でしょう)。

「オーデンセの雪景色」 2011年 油彩

クリスマス風景というのは、小さな世界が似合う素材が意外と目に留まりやすく、単行本位の大きさを多く描いています。
そういった作品は、大きな絵に描ける主題を小さく描いているわけでは決してなく、小さな世界観があって初めて成立するものです。逆に大きな絵は、その大きさでしか表現し得ないものです。私の絵の場合(クリスマス風景に限らず)、それぞれ逆のベクトルは決して成立しないように感じます。

世界に浸れる大きな作品から、キラキラ華やかなものがキュッと小さな絵に収まっているクリスマス・カードのような小作品まで・・・そんな観点からも展覧会を楽しんで頂けましたら幸いです。

真夏から少しずつ描き続けてきたクリスマスの作品たち・・・ここへ来てやっと季節が追いついてきたなぁと、秋冷の空気に触れつつ思う今日この頃です。

笹倉鉄平

2012年11月05日