アトリエから 2013一覧

皆様からのご支援への感謝とご報告

2013年も駆け足で過ぎ、年越しを迎えようとしております。今年は、秋が短かったせいなのか、特に夏以降がとても速かったように感じます。

さて、先日終了致しました東京・銀座セントラル美術館での「全版画展」へは、12月の何かとお忙しい時期にも関わらず、多くの方にお越し頂きまして、本当にありがとうございました。
中には、かなり遠方よりわざわざ足をお運び下さった方々もいらっしゃり、恐縮致しますと同時に大変嬉しく思いました。

ところで、今回その会場の入り口すぐ右側に、小さな小さなチャリティ・コーナーを設けさせて頂いておりました。
東日本大震災により遺児・孤児となった子供たちを支援する活動を行っておられる「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構」のご紹介パネルと、その子供たちへ向けての募金ボックスの設置です。
その経緯等の詳細は、こちらの「アトリエから」本年1月24日付記事にございます通りです。

当初、ここ「Teppei.Net」でもご紹介をさせて頂いておりました『未来ある子供たちに』ポストカード・セットの現在までの売上金全額と、上記のボックスへ募金をして頂きました現金の合計額、492,601円を「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構」へ、12月24日にお渡し出来ましたことをご報告申し上げます。

これも一重に、ご賛同ご協力を頂きました方々の善意のおかげに他なく、心より感謝申し上げます。

今夏7月には、東京でのクラッシック・コンサートへ被災地から招かれた孤児・遺児と関係者・保護者の皆様と、直接お会いする機会がございました。
難しい環境にも負けずに一生懸命頑張っておられるその姿勢と意気込みに、大変感銘を受けましたし、パワーも頂きました。

ただ・・・その奮起が、逆に"頑張らねば"という自身へのプレッシャーにつながらないように、あまり肩に力が入り過ぎないように、などと案ずる気持も何処かにあります。彼らの、自然な心からの笑顔を見られる時が一日も早く来ますことを願ってやみません。

以上、簡単ではございますが、チャリティのご報告と御礼まで。
暮れゆく2013年、年の瀬のご挨拶に代えましてお伝え致します。

笹倉鉄平

2013年12月26日

ヨーロッパのクリスマスは・・・

クリスマス・ツリー点灯式のニュースなども聞かれる時節となってまいりました。

ヨーロッパ・キリスト教圏の多くの国では、クリスマスの約4週間前から(主に11/30に近い日曜から)アドヴェント=待降節という、クリスマス当日を待ち望む(?)期間が始まります。
"この時期"を、今までに何ヶ国か体験した私的な感想として思うのは・・・
そこに漂う空気感が、日本でのクリスマス時期のそれよりも、どこか年末年始の方に、むしろ似ている気がすること。

例えば・・・
クリスマス・ツリー用モミの木が往来で販売される様子は、年末に正月のお飾りを露店で売っている感じとそっくりです。
また、クリスマス・マーケットが開催され、クリスマスのグッズや飲食関係の露店に人々が集う様は、東京ならアメ横、大阪なら黒門市場、京都なら錦市場辺りの年末の賑わいを見ているようです。
逆に、日本の大晦日の晩~元旦にかけての街の静けさは、24日イブ~クリスマス当日を主として、店舗が閉店し、遠方から家へ帰省する家族が集って教会に出かけたり各家庭でも祝ったりする、欧米の街の敬虔な雰囲気と相通じるものがあるように思います。

無論、同じ欧州内でも国や文化圏・宗派が違えば「聖なる日・クリスマス」もその様子や風習は違ってきますし、一概には言えない部分も多々あります。ですから、上記はあくまで、ざっくりとした私の印象の話でしかないのですが・・・。

そんな雰囲気をお伝えしたく、以下に画像付きで少しだけご紹介をさせて頂きます。

12月のパリの街角。こういった仮設の店でよくモミの木を売っています。(他の国でもよく見かける光景)


フィレンツェのクリスマス市の様子。イタリアでは、意外と控え目なマーケットが多い気がします。


陶磁器で有名なマイセンにて。ドイツでは全体的にマーケットの規模が大きめで、露店の数も多くその造りも立派。


果物や木の実をシロップやチョコレートでコーティングしたお菓子は人気です。


ねぎとチーズのピザのような菓子。その場で次々に焼かれる熱々を、寒い中でハフハフ言いながら食べるのは日本の"たこ焼き"感覚?


ドイツらしく(?)、バームクーヘンも屋台の中で作られ、焼き立てをスライス。チョコやアーモンド等トッピングをしてくれます。


上記の他にも、飲食の屋台では、フライド・ポテト、ソーセージ、クレープ、グリュー・ワイン(香り付の温めたワイン)、アーモンド砂糖菓子、日本でもよく見るリンゴ飴などなどがメジャーです。

そんな中でも、クリスマス・マーケット発祥の国であるドイツのこの時期は、どんなに小さな町を訪ねても、大小様々趣向を凝らしたマーケットに必ず出会えて、ウキウキしてしまいます。
絵に描きたくなる情景もやはり多く、『ブレーメンの移動遊園地』は正にそんな中の一枚でした。

また、日本でお祭り屋台などでよく見かける、射的や輪投げのような遊びの露店も、やはり似ているなぁ…と思います。家族連れも多いですから、エンターテインメント要素は万国共通に必要なのでしょう。
ただし、"日本とは違うし、気合入っているなぁ"と感じるのが、作品にも描いた移動遊園地です。

比較的大きな街では広場も充分な広さがあるせいか、ブレーメンのように、こんなに大がかりで本当に移動式?と思う程の乗り物や遊具もそろっています。
では、小さな町には遊園地は来ないのかというとそうでもなく、狭い広場なりに、小さくてかえってそれが可愛らしい乗り物がいくつかそろった規模もかなり小さなものが、ちゃぁんとマーケット横に来ているのです。

"移動遊園地"の文化が当たり前のヨーロッパでは、年に何度かイヴェント毎に、ある日突然現れて期間が終われば忽然と(一晩で、ということもあるそう)消え去ってゆく・・・といいますから、驚いてしまいます。
そのこと自体がまるで魔法のようで、子供たちは毎度楽しみにしているようですし、大人になっても良い思い出となるのでしょう。

更に、街の中へと目を移せば、夜のライト・イルミネーションもそれぞれの通り毎に異なる工夫がされて見事ですし、夜景が大好きな自分には心躍る景色が多いのです。

確かに、日本と比べれば、ヨーロッパの多くの国々が緯度的に北に位置していますから、冬場は早く太陽が沈み、強烈な寒さと相まってその暗さにも辟易としてしまうことでしょう。
だからこそ、イルミネーションの光で暗闇を照らして、心にも灯りを燈そうとしているのかもしれません。

最も日照時間が短くなる12月、クリスマスの2~3日前に迎える冬至を境に、今度は少しづつ夜の時間が短くなってゆきます。
少しでも闇を追い払いたい気分と、冬至を過ぎる喜びが重なるこの時期、ヨーロッパの国々では皆が"光"をより強く意識するのでしょう。
救世主イエスの象徴が"光"であることも含めて、クリスマスというのは正に「光の祝祭」なのだと、どこかで耳にしました。

それを聞いてから、クリスマスの"光"の絵を描く時の気持ちは・・・どことなく、少し特別な感じがするのです。

笹倉鉄平

2013年11月15日

カンボジアの学校、その後のその後

先日、大阪・梅田大丸で開催して頂きました、新しい版画集出版記念展へは、多くの方々にいらして頂き、本当にありがとうございました。また、サイン会時には、重たい画集を抱えながら行列に長時間お並び頂き、恐縮でした。
版画集の出版記念ということで"全版画"を展示しておりましたが、自分でもその数の多さに今更ながら驚いてしまった次第です…。

さて、前回までは英国~アイルランドへの旅路を何回かUPしてまいりましたが…
今回は、なぜかその続きではなく…唐突ですが、カンボジアへ行ってきたお話をさせて頂きたく思います。

今年の2月、いつものメンバーや新たに参加された方々ともご一緒して、またカンボジアへ行って参りました。(前回&前々回の訪問の模様やあらましは[アトリエから]の、08年1月24日付と10年4月5日付の回をご参照頂けましたら幸いです)

今回は、学校の子供たちへ水彩絵の具と筆をお土産に持って行きました。
子供たちはその画材を使って早速に絵を描いて、私の所へ持ってきてくれました。その心遣いがとても嬉しくて、その絵をお借りして日本へ持ち帰って参りました。
と、申しますのも…

毎秋、版画ミュージアム(神奈川県・大和市)にて開催されます『やまと子ども絵画大賞』展(←私は審査員として参加)で、これらの絵を展示して頂き、同じ年代の大和市の子ども達に見てもらうことで、カンボジアの子ども達が厳しい環境下でも明るく前向きな姿勢で勉強に励む様子を、少しでも知ってもらうきっかけになれば…と思い立ったからです。
限られた短い時間で描かれた小さな絵で、数も少なくたった十数点しか展示出来ませんが、その視線や感性が日本の子ども達と全く違うことも解ります。

この学校で出会う彼らの笑顔と澄んだ眼差しには、毎回々々深く心を動かされます。そんな中で不思議と、どこか懐かしい感覚も心をよぎるのです。
生きることに一生懸命で、「学べる喜び」に日々感謝と幸福感を感じている彼ら――そのひたむきな純粋さ。日本人が時代のどこかで置き忘れてきてしまった部分を、彼らの瞳の中に見ているからなのかもしれません。

*     *     *     *     *     *     *

初めてカンボジアのこちらの学校を訪ねてから早くも5年以上が経ち、ご一緒させて頂いている皆さまのご努力で、学校の環境整備もゆっくり着実に良くなってきました。

特に、前回3年前に訪ねた時に初めて行われた健康相談&診療では、衛生・医療環境の劣悪さから、かなり大人数の子ども達が列を成して診療を受けていたのですが…
なんと、今回は列が全く出来ず、ご同行された小児科の先生も驚いておられました。
学校の敷地内にトイレが完成し、飲料水も衛生的な状態で飲めるようになったことが、とても大きく貢献しているのだそうです。

受け入れ側(カンボジア)の体制がまだかなり不安定な為、支援を進めるには困難も多いのですが、ご一緒している仲間の皆さまの並々ならぬご努力が実を結んでいるのを目の前にすることが出来、今回もとても嬉しい経験を致しました。
その様子を、以下の画像にて少しですが、お伝えしたく思います。

①敷地の入り口には、 伝統的な形の門が完成していました。


②同じく綺麗なトイレも…完成前は、周囲の雑木林がトイレでした。


③年々増え続ける生徒に対応する為の新しい教室も増えました。


④清潔な飲料水も、 現在ではちゃんと確保できています。


⑤今日はかなり大勢になった生徒みんなで、お土産に届けられたお弁当を食べています。


⑥お別れの時、元気に手を振ってくれる低~中学年の生徒さんたち。


笹倉鉄平

2013年10月04日

アイルランドから・その2

ここしばらくは制作の事に手一杯で、更新する余裕がありませんでした。
前回触れておりましたアイルランドでのテーマも、ようやく絵として構想をまとめられ、 安堵感を覚え始めたところです。

 

さて、この写真はアイルランド西部の都市コークの駅構内に置かれていた盲導犬の募金箱です。
子犬まで一緒に付いていて…う~ん何とも可愛らしい (照笑) 。思わず和みましたので、
皆さんにも見て頂こうと…。

また、旅出つ前には予想すらしていなかった光景にも幾つか出会え、幸運に感謝しています。
それらを、今ここで言葉にして伝える能力は有りませんので、
そのうち何とかして絵で表現してゆきたく思います。
ただし、ずいぶんお待たせしてしまうことになるとは思いますが、どうかご容赦を(苦笑)。

そろそろクロッキー帳も、僕の記憶容量?も満杯になってきましたので、近々帰国いたします。

笹倉鉄平

2013年09月17日

アイルランド・列車の中から

オリンピックが東京に決定!!のニュースを、アイルランドのテレビでも詳しくやっていました。
嬉しくて、思わずガッツポーズが出てしまいました。
2020年が今から楽しみです。明るいニュースに、元気を貰えました。

さて今、このメールをダブリンから西行きの長距離列車の中で書いています。
今回、絵のテーマが大きく二つあり、その一つはイングランドで得られ、まとめる事が出来ました。
ここまでアイデアスケッチを繰り返す毎日で、また移動も多かった為、
気付けば、まだ一度もきちんとしたレストランで食事を取る時間も無い程です。
が、それは天気にも恵まれ、良い光景に出会えている証拠なのかもしれません。
さらに、もう一つのテーマを描くためにアイルランドが最適かと思い、
一昨日マンチェスター空港から渡って来ました。

 

 

先程から電車の窓の外は、ずぅーっと変らずこんな感じです。
平坦な緑地で、時々ヒツジや牛や馬が草を食んでいて…
あぁ何て長閑で、広~い空…。

笹倉鉄平

2013年09月09日

イングランド・スカーボロから


ヨークから英国東海岸方面へと巡り、スカーボロという海辺の街に着いたところです。
ここは市場の建物で、昔から「市」が盛んで有名だったそうです。
しかし戦乱のため1788年から中止されてしまいました。
が、再び市(フェア)が開かれる様な平和な時代に戻ってほしい…との思いで、
イングランド民謡をベースに反戦歌が作られました。
その後200年近くが過ぎ、ニューヨークの若者二人が歌って大ヒットし、
世界に知られる事になりました。
それが、サイモンとガーファンクルの「スカーボロ・フェア」で、僕の大好きな曲なのです。
十代の頃、ギターで何度も練習した事を思い出し、甘酸っぱい気分になりました。
歌詞にあったハーブの名前「パセリ、セージ、ローズマリー&タイム」を、
この市場でつい探してしまいました(照笑)。

笹倉鉄平

2013年09月05日

イングランド・ヨークから


イングランド北部の古都・ヨークの駅ホームで、電車待ちをしているところです。
この街ヨークの名前が新大陸アメリカに渡り、
"ニュー"ヨークとなった時代の雰囲気をそこかしこに感じながら、
スケッチをしておりました。
朝夕は寒い程で、身体が気温変化について行くのがやっとです。

そろそろ電車が来る時間なので…また。

笹倉鉄平

2013年09月02日

イギリス・ロンドンから


ここはロンドン、セントパンクラス駅です。
たまプラーザ東急でのサイン会の翌日には、ロンドンに到着しておりました。
今回は先に絵のイメージがあって、それに合う景色や場所を探しに来ました。
夏の間中ずっと、アトリエでの制作が続いておりましたので、 気分も新たに臨めると思います。
では、また…
取り急ぎ。

笹倉鉄平

2013年08月29日

朝日と夕日の違いって?

新しい版画集がつい先日発刊されましたが、もうご覧頂けましたでしょうか?

今回は版画集ということもあり、あえて文章や解説は掲載せずに、シンプルかつ純粋に絵の世界を楽しんで頂こうと思っておりました。
そこで、全ての絵・作品に共通する集大メッセージとして、冒頭の扉ページに『絵の中の"光"が届きますように――』という一行だけを入れさせて頂きました。

どんな時にも、どんな人にも、"光"というのは、温かな希望や安らぎを運ぶと信じて、ずっと描いてきました。
"光"の象徴するものが観て頂く皆さまの心へ、平安や前向きな気分を少しでもお届けできればいいなぁ…と願ってのメッセージです。

*     *     *     *     *     *     *

さて、そんな"光"がらみの話題(?)ということで・・・今回は「ちいさな絵画館」のアンケート内にて、過日頂いておりました以下のご質問に答えてみたいと思います。

Q."朝"と"夕方"の描き分けに、特別な手法はあるのですか?(光の加減など)
タイトルを見ずに絵だけ見ると、どちらかわからないことがあります。
「光」の効果ってすごいですね。自然光であっても、人工光であっても、光に照らされることで、気持ちが明るくなる気がします。
…もしかしてそれは、闇・陰があってこその「光」なのでしょうか…
(2013年4月のアンケートより、該当部分を抜粋)

A.確かに朝日と夕日は両方とも"陽の光"、同じものですから、絵の中で明確に描き分けをするのはとても難しいことなのですが・・・

絵の中に在る建物や人の様子といった"状況"から、観る方に時間帯を感じ取って頂ければ・・・と考えながら描くことも、方法の一つです(ご質問頂いている、いわゆる"手法"ではないですが)。
例えば、早朝から開いている店舗はそうそうありませんし(=閉まっている店が描かれていれば早朝か真夜中)、人の生活の場面も朝と夕では、どこか違いがあります。

その辺りを上手に描き分ければ、観る人にも伝わるであろうと考え(願い)ながら、筆を運んでいます。
ただ、観る方の感じ取られた時間がたとえ私の設定と違っていても、それぞれの想像の中で、自由に感じ取って頂けましたら・・・それはそれで良いと思います。


ちなみに、太陽光は角度(陽の傾き)が斜めになる程、赤い光線が強く見える為、水平線・地平線に太陽が近づけば、夕焼けの色はますます濃くなるのだとか。

また、射す角度が同じであっても、朝日と夕日では何処となく違いを感じますよね。
それは、朝の時間帯よりも、夕方になるにつれて空気中に漂う水分や細かな塵が一般的には多くなる為、夕焼けは一段と黄~赤色を鮮やかに見せるからなのだそうです。

日本の夕焼けが燃えるような茜色に染まるのは、高湿度という気候の条件によるところも大きいのかもしれません。
"紅い朝焼けは雨の前兆"と昔から言われるのも、降雨を前に湿度が上がっている状態だから・・・ということなのでしょう。

蛇足ではございますが・・・
先日リリースされました「雨のち夕陽・・・」は、元々空気がきれいな場所な上に、雨に洗われて大気が澄み渡った状態だったので、夕方でありながら朝日のように爽やかな色彩の夕空でした。


自然光に対し、人工光である照明が様々にある中で、その種類により、白熱灯はオレンジっぽく、蛍光灯は青白く・・・等と、やはり変化がありますし、時間帯や天候による周囲の明るさ暗さの状態など、多様な条件の下で"光"の表情はどんどん変わってゆきます。

そうした"光"を絵に描き出す為に・・・
光を実際に発するような"発光絵具"など、無論存在しませんから、上記のように状況で描き分けることも一つ。
そして、この方のご推察通り、影の部分の"暗さ"を描くことによっても、色々な表情の"光"を表現しようとしています。

影を濃く暗く描けば、強い光を表現することが出来ますし、逆に影を薄くしてゆけば、淡い優しい光として感じさせてくれます。
影の長さやその落ちる方向で、光のある場所=光源も表せます。
また、くっきりした影、ぼんやりとした影・・・等々の描き方や、複数の光が大小・強弱組み合わさる様子を描くことで、その場の雰囲気や空気感、抒情などを演出することもあります。

とにかく、言葉で説明するのが困難な程に、"光"というのは多種多様です。
長い年月の間に沢山の「光」の絵を描いてきましたが、その描写方法は計り知れない程に奥深く、これからもまだまだ探究が必要でしょう。
自分の一生のテーマになると常に感じつつ、楽しみながらその魅力を追いかけています。

笹倉鉄平

2013年07月31日

新しい全版画集

この度、新しい全版画集が、美術書中心の出版社である求龍堂より出版される運びとなりました。
今月末頃より、書店店頭(画集コーナー等の在る大型書店中心)に並ぶ予定とのことです。

前回の「全版画集」には、1991年のデビュー作「カダケス」から2002年8月の「語らい」までが掲載されていました。
今回『笹倉鉄平全版画集2002-2013』も同じく約11年間分、2002年の「サン・ルーに降る雪」から始まり、先日発表された「リフレッシング・レイニー・カラー」までの掲載です。

他の画集と違い"版画の図録"ですので、版画そのものを1点1点複写した画像を使って印刷されています。
各作品に技法、工房、制作年、刷り部数等のデータも付された、いわば版画の戸籍?のようでもあります。

また、既に完売しております前の版画集巻末にございました、モノクロ6頁分の"版画制作工程解説"の代わり(?)に、同掲載済の1991~2002年迄の全作が、縮小版ではございますが、全てカラーにて資料掲載されました。つまり、デビュー作~直近までの全版画作品が余さず網羅された一冊となっているのです。

これまでの版画作品を発表順に見られますので、描いた頃の自分自身(=それぞれに込めようした想い)を思い出しますし、それを表現する為に求め続けたスタイルの変化も感じられ、我ながら少々感慨深いものがありました。

この度の出版に際しご尽力を頂きました求龍堂様、度重なる校正にも快くご協力を頂きましたニューカラー写真印刷様へ、この場をお借り致しまして、心より御礼を申し上げます。

 

版画の現物と見本刷り原稿を並べ、チェックをしています。
印刷所の方々にご協力頂きながら、こうして校正を何度も繰り返して、 印刷上の限界はありながらも、実物の色へ近づけられたと思っています。
(ちなみに、こちらは再々々校正中の様子)

笹倉鉄平

2013年06月14日

正に”アトリエから”です

以前、こちら(07年7月17日の『ただ今スケッチ中』)で、絵を描く現場でのスケッチの様子を、写真付きでご紹介したことがございました(既に5年以上も経っており…驚きです)。

かなり前から、現地で絵を描いたりスケッチをしたりする際の状況というのは"どんな風なのでしょうか?"といったお声があり、それを受けての掲載でしたので、当時ご好評を頂きました。

また、アトリエで絵を描く様子を見てみたい、というお話も時々伺うのですが、独りで自身の想像世界に没入して描く私の制作スタイルにおきましては・・・そればかりは、無理な相談というものです(笑)。

そこで、一枚の絵が仕上がってゆく様子を画像とともに掲載させて頂こうと思います。
絵筆を握っている間は集中を要する為、余裕がございません。1日の制作作業が終わった段階で(毎日ではないのですが)、画面を写真に残していってみました。

制作経過の一コマ一コマを後から見てみたいと、ある日ふと思い立ち、自身の後学の為に少々興味が湧いたこともあり・・・一石二鳥かなと考えて今回、新作「スプリトの花市」の原画制作時に行ってみたものが以下となります。

①別の紙に描いた下絵を参考にしながら、薄いブルーグリーン色で下地塗りを施したキャンバスに、パステルペンシルで大まかに下描きを始める。

②チャコールペンシルで、更に下描きを進めてゆく。(遠近法の線は、画面中央にいる女性に向かって伸ばしそこで焦点を結ぶようにした)

③光のあたっている所や明るい場所を、白く塗ってゆく。("光"に最も重きを置いているので、一番初めに塗り始めることにしている)

④その後、影になっている部分を少し暗い色にしてゆく。

⑤花を描き始める前に、葉や茎の部分などへ先に色を置いてゆく。(この時点では、花をどのようにするか未だほとんど決めていない)

⑥絵の主役であるカラフルな花を、バランスや配置などを考えつつも、頭に浮かんだまま色を載せてゆく。(画面左の上部にある現実には丸かった外灯を、絵の雰囲気に合わせたデザインへとここで描き変えた)

⑦花の色調が決まると、ようやくパラソルへ彩色したり、花々などの上に光を入れたり…等々、描き進めることができる。

⑧主たる要素の部分に納得できたところで、影となる部分を濃くしてゆく。

⑨花の色彩などと共に細かい部分の描き込みを進める。(画面左側に座っている犬は当初レトリバー犬だったが、地面の色とあまりに同化してしまう為、この時点で白い犬(=白地に黒ブチのダルメシアン犬)に描き変える)

⑩光、空気感、雰囲気…といった漠としたものを描き進めてゆき、ストンと自分の中で落ち着く瞬間が来て・・・完成となる。(最終的に、画面左奥の女の子の服装も変えた)

【転載・コピー等厳禁】 Copyright © TEPPEI SASAKURA / ART TERRACE

 

時間的な観点で、所要時間だけを比べてみますと、写真の①~⑨迄と、⑨~⑩の部分では、実は同じ位の時間がかかっています。
見た目の分かりやすい変化よりも、"雰囲気"や"空気感"といった気持ちの部分をキャンバス上に描いてゆくのは、やはりとても難しく、どうしても時間を要するものなのでしょう。

また、上の画像は全て小さなデジタルカメラで撮っておりますので、色調や色の強弱など現物とはかなり違っておりますし、見辛いところも多々ございますことご了承下さい。

毎作品、上記のような手順をふんでいるとも限りませんし、絵によっても、勿論、使う画材やサイズなどによっても進め方は都度変わってきます…今回は、概ね代表的なパターンとして紹介させて頂きました。

メイキング画像?とでも申しましょうか・・・お楽しみ頂けましたら幸いです。

笹倉鉄平

2013年05月08日

質問にお答え致します Part.5

昨年末のメール御礼企画の際は、"初めて送ります"といった新鮮な方からお名前もお馴染みになった方まで、沢山のメールを頂戴致しました。
初メールで一生懸命に絵への想いを綴って下さったもの、新作への感想、近況をご報告下さっているもの…色々ながらも、その全てから元気をもらって拝読させて頂きました。
ご送信頂くお手間、それぞれに綴られた内容、一つ一つへ感謝致しております。

さて今回は、五回目となります、メールで頂戴した質問へのお返事コーナーです。
(Q.の部分は、メール等より問い合わせ主旨のみを抜粋させて頂いております)

Q.先日、チャリティ・ポストカードセット「未来ある子供たちに」を手に入れました。図柄5枚の、それぞれに描かれた場所が知りたいです。

A.まずは、当活動へご協力頂きましたことへ深く御礼申し上げます。以下、各作品を描いた場所となります。

【前を向いて】
漠然とですが、"東北地方"――夏休み中の姉弟のイメージです。
手をつなぎ想いを支え合いながら、前へ前へと進んで行ければいいなぁ
といった希望を込めながら、ポストカードとして作る為に新たに描きました。

【YUM】
フランス・ノルマンディ地方の街オンフルール。
旧港に面したアイスクリーム屋 前の石塀でくつろぐ父娘。

【ゴムとび】
スペイン・バルセロナ郊外に在った公園(名前までは憶えておりませんが…)。
光の中で屈託なく遊ぶ少女たちの姿を偶然見かけた。

【時の経つのも忘れて】
南フランス・コートダジュールに在る サンポールドヴァンス村の入り口前に在る広場で。
本に没入している少年の姿が印象的だった。

【少年と犬】
スペイン南部・アンダルシア地方の街ロンダ。
歴史ある闘牛場(背景はその高い外壁)の前で出会った少年。


Q.(絵を勉強されていらっしゃる方からのご質問で)季節感あふれる絵を描くには、どうしたらよいでしょうか?

A.私なりの方法論でしかお答え出来ないのですが、それを前提でお伝えしてみますと…
"場所選び"が、大きく季節の感覚を左右するように思います。
まずは、ご自身の感性で"この季節ってイイな"と思う場所へ、その時期に行ってみるのがベストだと思います。そして、様々な角度で視線をずらしたり変えたりしながら、より"好き"と感じるお気に入りの構図・切り取り方を探してみてはいかがでしょうか。
また、実際のリアルな景色の色彩以上に、ご自分で"もっとこうだったら良いのに"と感じる色調で描いてみるのもよいと思います。要は、その絵を描いている間、ずっと"その季節に対する自分の想い"を意識し続けることが大切だと思います。


Q.(「ちいさな絵画館」アンケート回答紙にあったご質問で)「らくがき大好き」という作品で、このような色合いになっているのは何か意図があるのでしょうか?

【らくがき大好き】

A.通常、キャンバスに下地を塗る際には、全体をイメージする色、もしくは、絵の"主人公"を活かせる色を選んでいます。
この絵では…勿論、現実の地面の色はこんなではありませんでした。が、男の子の肌や髪の毛の色・使っている白い絵具が活きてくる色彩として、この色を下地に塗りました。
ですから、明確な意図があって――というよりは、漠とした説明で恐縮ですが、感覚的な理由で色合いを選んでいることが多いです。


Q.("香り"に関するお仕事をされている方からのご質問で)どのような香りがお好きですか?

A.柑橘系の香り…中でも、オレンジの香りが好きなようです。
イタリア・シチリア島での10年以上前の話です。何かとても良い香りがする――と気づき、散策の足を止めて辺りを見廻すと、オレンジの木が街路樹として植えられていました。ちょうど白い花が沢山咲いている季節だったので、その香が当たり一面に漂っていたようです。
それまでの人生で「好きな香り」など考えてみたことすら特に無かったのですが、この時に初めて認識したのでした。
以来、シャンプー・入浴剤、ルームフレグランス等、香りのあるモノ選びの際には、ついつい柑橘系を探してしまいます。
そういえば以前から、デザートやアイスクリームのフレーバーを選ぶ時もそうでしたし…チョコレートも、オレンジ・ピールにコートしたモノに目が無かったりします…(照笑)。


今回は以上です。
今後もご遠慮なく質問お寄せ下さい。勿論、作品や展覧会への感想も常にお待ち致しております。


笹倉鉄平

2013年03月26日

『未来ある子供たちに―』ポストカードセットについて

昨春、こちらのページで「震災支援への今後の活動について準備を進めているところです」と書いておりました。
…その後、些少ながらも支援活動を続けておりましたが、皆さまへのご報告が後回しになっておりました。

あと二か月足らずで、あの震災から2年が経とうとしています。
支援活動の部分でも、企業・団体などから寄付も集まり様々な形で支援が行われているのを見聞きしながらも、「漠然とした形ではなく、具体的な何かを・・・」と考えれば考えるほど、スタッフと語り合えば合うほど、その想いは堂々巡りばかりでした。

そんな中で、心に引っ掛かってきたのが、被災地の子供たち…特に親を失った子供たちのことでした。
震災では、およそ240名が両親を、約2000名が片親を失くしたということです。
国や行政では、その一人一人に対して精神的な部分や教育・情操面までの細かな対応は難しいのでしょう。

しかし、その部分に焦点を絞って実際に支援活動をされている「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構」という団体があります(私も発足直後から参加をさせて頂いております)。
趣旨や活動内容は、以下にリンクを張らせて頂きますので、ご覧頂けましたら幸いです。


【一般社団法人3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構(3.11塾)】 http://311juku.jp/

昨夏には、被災地の子供たちを念頭に置いた、チャリティ活動をしたいと思いポストカード・セットを作製しました。
"希望の光"に向かって歩む姉弟のイメージを描いたものや、これまでの作品から子供を主人公にしたものを選んだ5枚一組です。

今後は、上記「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構」主催のチャリティ・コンサート会場や、株式会社アートテラスのショールーム(東京・八重洲)、「ちいさな絵画館」(兵庫県・西宮市)、「版画ミュージアム」(神奈川県大和市)、ご賛同いただいた「推奨販売店」にて販売させて頂く所存です。
そして、私の事務所(=株式会社アートテラス)に於けるこの売上金の全額を「3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構」へ寄附させて頂きます。

ちなみに、このポストカード・セットは、福島と仙台それぞれの「いのちの電話」でのチャリティ活動にても、既にご使用頂いております。

ご存知の方も多いかと思いますが…「いのちの電話」は、悩みを抱えている人の話を電話で聴きその支えとなることにより、大きな社会問題である自殺の予防にもつなげてゆこうという活動を、全国各地で行っているボランティア団体です。
特に、3.11東日本大震災以降(津波被害・福島の原発事故・放射能汚染など多くの課題を内包後)は、岩手・宮城・福島・茨城各県にて「いのちの電話/震災ダイヤル」を運営されています。

上記の活動にご賛同を頂き、お力添えを頂けましたら幸いに存じます。

笹倉鉄平

 

「前を向いて」「少年と犬」「ゴムとび」「時の経つのも忘れて」「YUM」の5枚セット
【販売価格】 1セット¥1,000(税込)
【販売店】 ㈱アートテラス・ショールーム(通販可)/ちいさな絵画館/版画ミュージアム/推奨販売店

2013年01月24日

初めてのスマートフォン

新たな一年がスタートしましたが、穏やかな新年をお迎えでしょうか?

昨年はココの文章を書く回数も例年より減ってしまうほどに、特別に忙しい一年でした。

秋のはじめ頃、季節の変わり目だったせいか一度だけダウンして(と云ってもただの風邪ですが)一週間ほどキャンバスに向かえないこともありましたが、それ以外はフル回転状態でしたので、今更ながら"よく体力続いたなぁ"と、しみじみ思うほどです。

今年は、体調管理にもより気を配りながら、絵で"安らぎ"や"元気"をお伝えできるように精進してゆこうと、年頭より気持ちを引き締めております。

さて、昨12月は、簡単な文と一緒に旅先ヨーロッパでの写真を、オフィス経由にてかなりリアルタイムに3回ほど表紙掲載させて頂きました。

これまでと少々勝手が違ったのは・・・スマート・フォンから、画像&文を自分で直接オフィスへ送ったこと。
実は旅立つ直前に、私の携帯がスマホに替わったので、その練習?試運転?とばかりに使ってみたのでした。

そもそもこういったデジタルの世界には弱く(普段の仕事が超アナログですから・・・)、少々不信感を抱きつつ使い始めたのですが、利用しているうちに…"便利かも?"と感じ始めました。

オフィス頁のTOP画像としてUPした、内臓カメラで撮った写真も充分綺麗でしたし、更新用のデータ作りもその場でちょいちょいっと済ませることが出来ました。今まで小さな町村では必要不可欠だった"まずはとにかくツーリスト・インフォメーションへ行かねば!!(=地図や情報を得る為)"という呪縛や、鉄道の時刻、空港のフライトインフォメーションなどライブで必要だった動く情報が全て手元で判り、余分に割いていた時間をかなり節約できました。
また、見知らぬ土地でも、"画面地図上で現在自分のいる位置・方向"が、本や大きな地図を広げずとも即座に確認でき、実際に何度も助けられました。

一つの"文明の利器"によって、旅の仕方までがこうして変わってゆくのだということを実感しつつ帰ってきました。
今どきのデジタル世代の方々には、鼻で笑われるような話かもしれませんね(苦笑)。

過去を振り返ってみますと…私自身が20~30代に旅していた頃には、ヨーロッパの小さな村等の情報は何一つ日本では得られず、現地のガイドブックを洋書を扱う店で探したり、各国大使館の観光課などをわざわざ訪ねたりしては、現地のパンフレット等を探すしかなく、マイナーな場所の情報を得る苦労は多々ございました…が、それはそれで懐かしく良い思い出です。

昨今は、ホテルの予約一つとっても、部屋の内装や周囲の環境まで画像で確認しながらwebで簡単に出来る時代になりました。
当時は、現地に着いてから重いトランクを引きずりつ今宵の宿を探し歩いたり、時にはFAXのやり取りをして予約を入れたり…と、時間・労力共にかなり大変だった上、少ない情報から選ぶというカン頼りの作業でした…が、時代は変わったものです。

手放しで…というわけにはいかないでしょうけれど、テクノロジーの恩恵を素直にありがたく思えた体験でした。

笹倉鉄平

2013年01月09日