アトリエから 2009一覧

2010年が良い年でありますように

2009年は、忙しく慌しくあっという間に過ぎていったという印象があり、サイン会が週末いくつか続いた後の12月半ば頃には、少々疲れが出てしまった感じもありました(今は通常モードに戻り、落ち着いて絵を描いています)。

思えば、'08年年の瀬から'09年年初にかけて、年をまたいでの展覧会を東京で開催していた為、例年なら"区切り"という気分を持てる「祝・新年」のタイミングを逸してしまい、"08-09年"がまるで2年続いているかの様な"走り続けている"感じが抜けなかったせいなのだと思います。
(勿論、この展覧会は充実感ある有意義なもので良かったのですが…)

年の瀬からお正月へと移ろう間の、極めて日本的な"年越~正月行事"や、それにまつわる細々とした慣習の諸々が、精神的に大切なものだったということを、改めて実感してしまいました。

それらのいくつかでもキッチリと行うことで、けじめ?というか…何かをリセットする様な"気持ちの線引き"が、出来ていたのではないかと思います。

この新年には、神社に詣でお寺に参り、昨年分もあわせて(笑)気分の一新をして、絵の制作にも活動にも、新たにチャレンジする気持ちで臨みたいと思っています。
年をまたいでの上記状況は、私のオフィスも同様でしたので、年末年始の休業を頂き…こちらのTeppei.Netも更新はお休み致しますので何卒ご了承下さい。

その間も、メールは勿論受付中(笑)です…皆様からの質問や話題のご提供により、当ホームページを盛り上げて頂いておりますので。
いつも本当にありがとうございます。

どうか2010年も、引き続きよろしく応援お願い致します。

笹倉鉄平

2009年12月25日

ちょっと苦手なこと

早いもので、今年も既に12月。つい最近まで"暑い暑い"と口にしていた様な気がするのですが・・・(苦笑)。

例年、秋から冬へと向かう今時分は、季節柄か展覧会が多く、サイン会などで人に会う機会が普段よりも増え、更には人前で絵について話をすることもたまにあります。

そんな中で、ふと思うのは・・・相変わらず多くの人の前で話をするのが苦手だなぁ、という事。
それでも、昔と比べれば少しづつ慣れてきたこともあってか、緊張したりアガったりすることはそれほどでもなくなりましたが、苦手なことには違いなく、聞いて下さった方々に上手く伝えられなかったのではないか?と終えた後、少し申し訳ない気がしてしまいます。

そこで、"なぜ苦手なんだろう?"と、自己分析をしてみました。
一つの要因は、自分の中で勝手に"常識"となってしまっている事柄に関して、ついつい説明不足だったことに後から気付くから。二つ目は・・・どうやら、その時に話したい内容が、頭の中にあまりにも一斉にバァっと沢山浮かんできてしまい、どう進めれば上手く伝えることが出来るか、自らも戸惑いながら話をスタートさせてしまうから、ではないかと思われます。

事前に原稿を用意する時間の余裕も取れない為、話をしている真っ最中に"あれあれ?この流れで伝えるよりも、先にあの話をした方が分かりやすかったかな?"とか"あ、関係ない方向に話が・・・"とか、ひどい時には"結局一番伝えたかったこと言ったかな?"等々、ずっと頭の中でアタフタオタオタしているのです。こんな状態では、聞き手としては分かりずらい事この上無しですよね(笑)。

この"一斉にバァッと"頭に浮かぶ感じ、どこか馴染みがあるなぁと、考えてみれば・・・絵を描く時にヴィジュアルとしてアイデアが浮かぶ時の感覚に、とてもよく似ていることに気付きました。
頭の中での発想や記憶の形が、全て"絵的"になってしまっているのだ・・・と、我ながら妙に納得してしまいました。

大体"人前に出るのが苦手"というのは、「人の前に出る時はキチンとしないと」とか「少しでも良く思われたい」等の人間の大いなる煩悩に端を発していると思いますし、自ら凝り固めてしまった理想の姿と現実とのギャップに、落ち込んだりする事から出てくる意識だと思います。

ところが、相手は意外とその"理想の姿"ほどは求めていないのが普通です。
ですから、欲張りな自らの思い入れは捨て去って、話下手である自分を、可も不可もなく素直に認めてしまえば気持ちもぐっと楽になり、気負いも減り、むしろ上手くゆくのではないか・・・と。年令と共に、段々そんな風に思える様に移行してきているのかもしれません。
「そもそも画家の本分は、あくまでも"絵で表現する"ことだし」などと、自分に言い訳もしつつなのですが(笑)。

そうそう、対人ということに関して、苦手な事が実はもう一つあります。
それは、「相手の目を見て話すことが少々苦手」だということ。

よそ見しながら話をするのは、相対している方に対して失礼な上、嫌々話している如き誤解すら与えてしまうであろう・・・と、充分に理解して注意もしているのですが・・・
どうしても、"恥ずかしい様な照れくさい様な感じ"で居たたまれなくなり、ついつい相手の方から視線をそらしてしまうのです。

一番顕著なのは・・・飲食店や店舗などで注文や支払いをお願いする等の場面で、最初から最後まで一度も、店員さんの目はおろか顔すら見ていなかったことに、後で気付くことすらある有様です。
もしかしたら、前半に書いた話下手の部分も、この「目を見て話すのが苦手」ということも遠因になっているのかもしれませんね。

以上、改善したいと思っている自分の中での課題でした。
今までに私とどこかでお話をされて、上記の様な不審な様子(笑)に思い当たる方がいらっしゃったら、そこに悪気は無かったことだけはご理解お願い致します。

今回は、苦手な事についての打ち明け話(?)にお付き合いを頂き、恐れ入ります。
こうして、直したいという意志を宣言することで、克服の早道になる場合もあると聞きます。それに、同じ様なご苦労をされている方もきっといらっしゃることでしょう、何か小さなことでも参考やヒントになり得れば良いのですが・・・。

寒さも本番、何かと慌しい年末へ向けて、皆様お体ご自愛下さい。

笹倉鉄平

2009年12月09日

ティールームと英国と「不思議の国のアリス」

先日、新作「12月のティールーム」に、オフィスでエディション・ナンバーとサインを書き入れました。
キャンバス摺り作品の為、金色のペンを使用したのですが、地色に馴染んで目立たずに書け、サインとしてはお洒落な感じ(笑)で気に入りました。
また、本作リリース発表後、皆さまからメールなどで早速多くの感想をお寄せ頂き、嬉しく思っております。

前回ここでは、"カフェ"にまつわる話を致しましたが、今回は上記作品にちなみ"ティールーム"の話をしてみましょう。
思わずコーヒー派宣言(?)をしてしまった前回でしたが…かつて広告業界に身を置いていた頃、あまりの多忙から胃を壊し、医者から「コーヒーよりもミルクティーの方が胃に優しい」と聞いて以来、今でも朝一番で口にする飲み物は必ずミルクティーだったりと、紅茶も割と飲む方なのだと思います(それでもコーヒー好きには違いなく1日3~4杯は飲んでいますが)。

さて、"紅茶といえば、やはり英国"…という印象、皆さんはお持ちではありませんか?
思い込みでしょうが、イギリスで飲む紅茶が一味違う様に感じられるのは不思議なことです。根が単純なので、旅先である事や周囲の雰囲気などに呑まれてのことなのでしょう。
様々な形で記憶に焼きつき、更には絵のインスピレーションを得られた、いくつかの"ティールーム・エピソード"を振り返ってみました。

南西部デヴォン州を訪ねた時。新鮮なクロテッド・クリーム(デヴォンシャー名産のジャージー種の牛乳で作る独特のクリームで、デヴォンシャー・クリームとも)とジャムを塗った、素朴なスコーンと一緒に飲んだ紅茶…屋外の席で、目の前に広がるなだらかな丘陵風景を目でも味わいながらの味は忘れられないものとなり、作品「デヴォン」はここで生まれました。

南部の海岸沿いの町イーストボーンでは、海辺のホテルのラウンジで取ったアフタヌーン・ティーがとても印象に残っています。
かつて貴族階級のリゾート地として栄えた町の老舗ホテルのホールは、ヤシの木などが疎らに置かれ、アンティーク調度品で飾られたコロニアル・スタイルの内装や高い天井…と、往時には貴族たちが華やかに寛いでいたであろう雰囲気に思いを馳せながらのひと時に、絵のイメージも膨らんだものでした。

【マーロー河畔】 2004年/アクリル淡彩/32.0×41.0㎝

テムズ川沿いの瀟洒な町マーロー。ホテルの庭のテーブルに陣取って、紅茶を飲みながらしたスケッチがこの作品です。

湖水地方・アルス湖畔、小さなホテルのアフタヌーン・ティーがとても人気だと聞き、近くをたまたま通りかかったので立ち寄りました。

すると、出てくる出てくる…スコーン、サンドイッチは勿論、クッキー、ビスケット、パウンドケーキ、ミニケーキetc.しかもそれぞれに何種類かずつ。
確かに美味しく戴いたのですが(きっと1000カロリーは裕に超えていたでしょう!)、夕食をとれなかった程のボリュームだったことの方が記憶に鮮明です。それでも、そこの大きな窓から見た、斜めに差す薄い夕日に輝く銀色のさざ波を湛えた湖水もまた忘れ難く、どう描いてみようかな?と、膨らんだお腹をなだめながらもあれこれ思いを巡らせました。

スコットランドの都市グラスゴーでは、アール・ヌーヴォーのデザイナーC.R.マッキントッシュが内装までデザインしたことで有名な<ウィロー・ティールーム>を訪ねました。独特なデザイン・スタイルの空間の中で過ごしたひと時も、様々なインスピレーションを心に刻むものでした。

…などと、こんな風に書き綴ってゆきますと、優雅な時間ばかりを過ごしている様に聞こえてしまいそうですが、歩き回った足を休めながらも、頭の中では目まぐるしく絵のアイデアを練っていたり、実際にスケッチをしてみたり…と、実は前回の"カフェ"同様、紅茶の味は二の次となり(笑)、やはりそこはいつの間にかミニ・アトリエと化しているのでした。

*        *        *        *        *

はて、それではそんな「英国」自体に興味が湧いたのはいつ頃だったのでしょうか?

きっかけ的には、学生時代にヨーロッパに憧れて見ていた英国案内本の表紙の一枚の写真――紳士の装いで懐中時計を手にする白いウサギ(誰しも一度は目にしたことがあるのでは?)のぬいぐるみ――が、大きく影響した様です。
その白ウサギが、「不思議の国のアリス」に登場する有名キャラクターであると知り、早速に図書館へ行って挿絵入りの本を開いてみました。

「不思議の国のアリス」出版当時に添えられていた挿絵は、1866年頃のジョン・テニエル(職業としてのイラストレーターの先駆け的存在)によるもので、摩訶不思議なストーリーをひき立てる少しだけ不気味で魅力ある独自の世界観に新鮮な驚きを覚えたものです。"カフェ"の回でもたまたま触れた「チェシャ猫」や、「ハートの女王」「ドゥドゥ鳥」「ハンプティ・ダンプティ」等どこかで見たことがあったキャラクター達との出会いに、内容よりも絵の印象の方が心に残ってしまったのです。

昨冬、世界的に有名な大学の街であり、「アリス」の話が生まれた地でもあるオックスフォードを訪ねました。
著者であるルイス・キャロル(本名チャールズ・ドッヂスン)は数学教師。そして「アリス」は、オックスフォード大学・クライストチャーチ・カレッジ学長の娘、アリス・リデルがモデルでした。
とある夏の日、彼はアリスと二人の姉妹を近くのテムズ川へとボート・ピクニックに連れて行き、彼女達に即興で一人の少女の不思議な冒険譚を聞かせました。これが原点となって誕生したのが「不思議の国のアリス」でした。

【“マッド・ハッター”ティー・ルーム】 2009年/アクリル淡彩/31.9×23.8㎝

訪れたのが真冬だった為、彼らがピクニックをしたというテムズ川沿いは冬枯れの寂しい景色でしたが、クライストチャーチ・カレッジ内や<Alice's Shop(アリスのグッズだけを集めた雑貨屋、兼ティールーム)>等を訪ねては、テニエルの挿絵の世界に思いを馳せてみました。

そして、その翌日はコッツウォルズ地方へと移動したのですが、そこでたまたま出会った<マッドハッター・ティールーム>の看板にあった絵に惹かれ中に入ってみれば…やはり思った通り「アリス」の人気キャラクターである「マッドハッター(いかれ帽子屋)」から取られた店名だったようで…
壁紙にはアリスや登場するキャラクターたちの絵があったり、カーテンがアリス柄だったり…と、有名なシーンのひとつ"Mad Tea-Party(いかれたお茶会)"をどこか彷彿とさせる様な空間でした。

そんな「アリス」続きの状況に縁を感じつつお茶を飲んでいると、自分なりの"不思議の国"を演出してみようというアイデアが浮かび、そのテーブルから見える風景を少しだけトリックを使って描いてみることにしました。
テーブル正面の窓から見えている外の風景が、もしも外側から見るこの店の風景だったら…?

つまり、この絵に描かれている窓の外の景色は、川の向こう側から見たこのティールーム自身の景色になっているというわけです。

こうして思い返すと、「紅茶」と「英国」と「アリス」というのは、頭の中の引出しの同じ所に入っている3つの要素として、どうやら"不思議の"関係にある様です。
さて、今回も大変に取りとめのない話になってしまいました。
これからの季節、(熱湯でないと美味しくはいらない)紅茶が恋しくなる機会も多くなりますし、より美味しくありがたく楽しめます。
きっと一杯のミルクティーの温もりが、気分をリフレッシュしてくれることでしょう。

笹倉鉄平

2009年11月06日

カフェの思い出いろいろ

100万アクセス記念に、たくさんのメールを頂戴し、本当にありがとうございました。
平素からよく送って下さっているお馴染みの方から「初めまして」の方まで、また、長い文から短い文まで内容もヴァラエティに富み、新鮮な気分で全て読ませて頂きました。

そんな中、新たな質問などもいくつかお寄せ頂いておりましたので、これから折を見てお答えしていこうと思っておりますが・・・今回は、これ『カフェがお好きとの事ですが、最も印象に残っているカフェはどちらでしょうか?』です。

この方は『・・・とある海沿いの絶壁に建つカフェでのお茶が一番記憶に強く残っています。』と書いておいでです。
そんな文章を読みながら、私の頭にまず思い浮かんだのは・・・ギリシャのサントリーニ島の玄関、フィラの街で、紺碧の海に落ち込む絶壁にへばりつく様にして在ったカフェでした。

もう店の名前は忘れてしまいましたが、確か・・・「シェイド」という絵の正面奥に描いたカフェの、右側にあった階段を少し下ったところにあった様な気がします。
また同じ地中海では、ミコノス島の海沿いにあった一軒もやはり気に入って、「ミコノス・カフェ」という作品を描きました。

『シェイド』 1998年制作

留まることなくその表情を変え続ける海や空を眺めてのお茶は、滅多に味わうことが出来ない、貴重で得難い至福のひと時です。
海だけでなく湖や池や川沿いなどの水辺にカフェが在ると、どうやら無条件に気に入ってしまう様で、今までにも色々な国、多様なシチュエーション、様々な画材で、絵に描いてきています。

例えば・・・「白い時間(とき)」という絵は、イタリア・リヴィエラ海岸沿いの町アラッシオの浜辺に在ったカフェで、目前に広がる風景を眺めつつ、頭に浮かんだイメージをメモ程度にスケッチしていたものから出来た作品です。

「夢の解放」は、シチリア島・タオルミナという町の<四月九日広場>の教会の中にあるカフェで聞いていた、ピアノの演奏に触発された想いを絵に描いたものです。

雨宿りに飛び込んだカフェで出会った犬は「うたた寝」になり、同じ様な状況で窓から眺めていた景色は「みんな雨の中」となり、冬の寒さに手がかじかんで、暖を取る為にカフェに駆け込み、それがきっかけで生まれた絵もあり・・・と、"災い転じて"系(笑)も割りとあります。

どんなに見知らぬ土地へ行っても、珈琲一杯にテーブルと椅子を得てその席にいる間、ちょっとしたアトリエ代わりにもなってしまう"カフェ"の存在は、(景色の良い場所ならば尚更に)本当にありがたいものなわけです。

 

『エスプラナディ公園のカフェ』 2009年制作

そんなわけで私の場合、旅先でのカフェは、珈琲の味は二の次で"眺め"と"雰囲気"さえ良ければ・・・という本末転倒な探し方になってしまうようです。

さて、こうして振り返ってみますと・・・今、この文章を書きながらも、ただの"カフェ好き"以上に、自分にとってはかなり重要なものだったという事実に改めて思い至りました。

上記の他にも、フィンランドの公園の中にあった、まるでガラス張りの温室の様なカフェ、イギリス北部で古い水車小屋の2階を改造したカフェ、また"画家たちが溜まり場にしていた"という様なカフェも、旅先各地で訪ねたりしていますし・・・

と、思い起こせば印象深いカフェは次々頭に浮かんできます。

それでは、質問にございました『最も印象に残っているカフェ』は?

・・・あえて一つを挙げるとすれば、ここしかありません。

それは、東京の中央線沿線・国分寺駅南口に在った<寺珈屋>という、学生時代に常連になっていた喫茶店です。

何かにつけ足繁く通い、今も珈琲(やカフェ)が好きなのは、ここでの体験があったからに違いないと思っています。

髭のマスターやカウンターの中にいるアルバイトの友人たち、他の常連客たち・・・店に行けば、必ず誰か知り合いに会える場所でした。また、壁に掛けられている沢山の古時計の針がさす時間はバラバラで止まっており、木の温もりを感じるレトロな内装が醸し出す独自の空気の中、挽きたての豆の香りを楽しみながら、本を読みながらぼぉっとして過ごす時間の心地よさもここで知りました。

気恥ずかしい話ですが、当時の店でのワンシーン・ワンシーンが、大切な絵の様に青春の一ページの中に残されている気がします。

*       *      *        *       *

さて余談になりますが、この喫茶店の地階に一軒のジャズ・バーが在りました。

お酒に強くないのに時たま行きたくなってしまう様な雰囲気の良い店で、時々お邪魔していました。

口数少ないマスターの薦めで、オイルサーディンの平たい缶詰を開けてそのまま火にかけ焼いたものを肴に、フォーローゼスのグラスをちびちびと傾けていたものでした。

優しそうなマスターは「僕、小説を書いているんです」と穏やかに話しておられましたが・・・彼こそ、(デビュー前の)今をときめく村上春樹氏その人だったのでした。

店名は<ピーターキャット>と云い、今でも鮮明に憶えているのは、店のマッチ箱の絵が"チェシャ猫"(木の枝の上でニタリと笑っている「不思議の国のアリス」に出てくる有名な猫)だったことです。

「アリス」の猫なのに、なぜ<ピーター(キャット)>なのだろうか?同じ英国生まれということで、「ピーターパン」からとった?もしくは、やはり英国生まれの絵本のキャラクター「ピーターラビット」から???

などと、いつもとても不思議に感じていたのですが、当時マスターに直接訊きそびれてしまったのが今となっては残念でした。

(ずい分後になって、飼い猫の名前が<ピーター>だったからだとウワサで聞きました。)

これらの店は、今はもうありません。

・・・少しだけ寂しい気持ちもありますが、"それもまた良いのかもしれない"と思えてしまう年齢になりました。

笹倉鉄平

2009年10月06日

100万回のありがとう‼

去る8月21日、ここ『Teppei.Net』へのアクセス数が、100万に到達致しました。
このホームページを立ち上げた頃には、考えも及ばなかった数字です。これは単なる"数字"ではなく、私の絵に興味を持って下さった皆様と画家本人との間をダイレクトに繋ぐ"橋渡し"の回数であったことを考えますと、「コレが有ってよかった」と今しみじみ感じております(昔の画家さん達には、無かった形なのですから…)。

ホームページが未だ無い頃は、自身のこと・考えていること・近況すら、公に伝えることが苦手であった上に、そういった手段すらあまり無かったのですが、「アトリエから」に拙いながらも文章を書いてゆくことで、自分自身を客観的に見られる機会を得ました。
また、感じたことや思い巡らせただけの漠然とした何かを"どの様な言葉にして伝えようか?"と、考えてみることによって、絵に描く場合の"どの様に伝えたらよいのか?"のヒントになったり…と、思わぬ収穫にもつながり自身の勉強になったとも思います。

そんなこんなで、維持・運営にはそれなりの手間も必要ですが、制作への思いや新しく描いた作品などをいち早くストレートにお伝え出来る場所として、また何よりも皆様からの応援や激励のお声を身近に感じることが出来る場所として、『Teppei.Net』の存在はとても大切なものになりました。
今後も、より楽しんで頂けるホームページを目指したいと、改めて実感しておりますと共に、多くの方々のご訪問に心からの感謝を、取り急ぎお伝えしたく思った次第です。

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さて、そんなわけで「100万突破記念プレゼント企画」も、9月の初頭には抽選を行い、下旬から10月初旬を目処に当選者の発表・賞品発送が行われる予定とのことです。
今回、ミリオン・アクセスの御礼だけで済ませるのも物足りない気がしましたので、前回少しだけ明かしておりました賞品の内容を、引き続き紹介させて頂きましょう(前回は"抽選発表時に併せてお知らせします"等と申しておりましたが…ちょっと早めで)。

 

『犬の塗り絵&色鉛筆のセット』 × 1名様
『ピンバッヂとメモ帳とカード』 × 1名様
前回、写真を載せた、英国・湖水地方にある"世界初の鉛筆工場"ダーヴェント社(の鉛筆博物館)訪問時のお土産です。
右側は、同じくダーヴェント社土産です…このピンバッヂ(ちょっと見辛いですが)は私も使っております。

『"忠犬ボビー"のメモ帳』 × 1名様
スコットランド版の"ハチ公"として大変有名な、"忠犬ボビー"君の銅像(エディンバラ旧市街に居ます)が表紙のメモ帳です。
旅先でも、"犬グッズ"には毎度ついつい手が伸びてしまいます(笑)。


『羊の"ハーディ"ピンバッヂ&ポストカードと湖水地方の雑貨屋で買ったカード』 × 1名様
英国・湖水地方固有種であるハードウィック種の羊のキャラクター"ハーディ"のグッズです。
かの「ピーターラビット」の絵本作家B.ポターが絶滅から救い守った種としても有名で、グッズ収益の一部は羊や環境保護への寄付になるのだそう。

『スペイン製陶器の小皿』 × 3名様
スペインの港町で気に入って求めた、手描きの絵が暖かい、素朴な味わいの小さなお皿です。

『伊・詩人レオパルディがモチーフのキーホルダー』 × 1名様
イタリア・レカナーティで個展をした際、レオパルディ博物館で見つけました。
月と星と詩人が愛らしいデザインの、ちょっと重め(笑)のキーホルダー。

『'30年代のパリを走っていたアンティークなバスの紙細工キット』 × 1名様
パリの雑貨屋で見つけ、簡単に作れそうだったのでずっとアトリエの抽斗にしまってありましたが、なかなか上手く時間がとれず・・・代わりに作って楽しんで頂けましたら幸いです。


更に"大当たり!!"の『特別賞』ですが、前回「1名様へ」と申しましたが、たくさんの熱心な応募メールに背中を押されまして(笑)、2名様にすることと致しましたが、内容は以下です。

両方とも、葉書サイズ位のとても小さなスケッチブックに、現地で色鉛筆を使ってササっとメモ描きした程度のモノで…

1つ目は、こちら。
パリ、ブローニュの森内のアンリウール湖に浮かぶ人口島にあるレストランを描いたもの。

もう1つは、こちら (「アトリエから」5月30日付"ロンドン、ケンジントン公園からノッティング・ヒルへ…"の回)にある画像をご参照下さい。
ケンジントン公園内に在るピーターパン像を描いたものです。(左の写真と同じ額を付けています。)
以上、プラス前回写真を載せました『ブリッゲンの小さな模型』と、全て合わせまして12名様がご当選となります。

あ、申し忘れましたが、一応全て宛名とサインを付けまして、発送させて頂く予定にしております。

今後も、何か別の形で機会を作り、プレゼント企画等を行ってみようと管理人とも話をしております。
どうぞ、これからも『Teppei.Net』をよろしくお願い申し上げます。

今までご来訪下さった皆様へ、100万回の感謝を込めて、本当にありがとうございました!!

笹倉鉄平

2009年08月27日

旅の“つきもの”

ふぅぅぅ~っ、蒸し暑い日々が続きますね。
体力・気力ともに奪われている感じの毎日ですが、体調がやっと戻ったおかげで何とか踏ん張れております。
旅から戻った直後、時差ボケで頭が全く冴えておらず、京都の展覧会のサイン会では上手くお話すら出来ずに少々もどかしく思いました。
さて、そんな今回の旅、順調ではありましたが、途中で気温差に泣かされたことがありました。

前半は、スコットランドからイングランド北部のいわゆる湖水地方を巡りました。
7月でも最高気温が15℃前後でしたから、長袖シャツに上着をはおり、毎日々々何キロもパブリック・フットパス(ひと言で云うと自然の中の"歩行者専用道路"で英国独特の制度)などを歩いてはスケッチをする…といった具合でした。

そして、後半はスペイン南部を中心にフランス南西部へも足を伸ばしたのですが、最高気温は一気に30℃を超え、屋外にいると帽子無しではスケッチも出来ないどころか、じっと座っているだけで、のぼせ上がってしまいそうでした。

そんな中、雨が降り風も強かった(寒気がおりていたらしい)とある海辺の町で、1日だけ気温が10℃台まで急降下し、その時はろくな上着も持っていなかったこともあり、風邪をひいてしまいました。
"例の"インフルエンザのことも一瞬頭をよぎりましたが、半日おとなしく寝ていたら体調も戻り、胸をなでおろした次第です。

制作の旅は期間も長くなってしまうことがありますので、今までも旅先でのハプニングは様々にありましたが、これと言った大事件は無くずっと来れておりますので、ラッキーなことだといつも感謝しています。

それで思い出したのですが、つい最近頂いたメールの中に、海外旅行先でのトラブルの話題を綴って下さった内容のものがあり、「旅先でのトラブル話はたくさんあるのでしょうか?」という質問で締めくくられていました。
ちょうどタイミングも良い(?)ので、お答えしつつ話を続けてみます。

頂戴したそのメールを一部抜粋させて頂きますと・・・何でもパリに行かれた際に『(郊外へ向かう)電車に乗っていたら、途中区間が運休していて、電車を降りてバス輸送に…』また『美術館へ行ったらストで入れなかったし・・・』とございました。

両方ともストライキの為の残念な出来事ですが、特にイタリアとフランスでは、ストは日常茶飯事なほどよく行われ、今まで数えきれないほど遭遇してきた為、私の中ではもはや"普通のこと"になりつつあります。
勿論、その後予定を変更したりフォローをしなければならない事は、とても煩わしいのですが…"(ストは)あって当たり前"が、個人的には常識になっています。

他にも『(乗継空港でのトランク積み残しによる)ロスト・バゲッジにあって…』や『エンジン・トラブルの為、別の飛行機に乗り換えることになって、定刻の5時間遅れ…』と、ありましたが、私も何度か同じ様な経験をしております。
確かに、この方の場合は一回の旅の間に色々起こってしまい、旅空の下で心細い思いをされたことでしょう。
それでも『今となっては良い経験ができて良かったと思っています』と書いておられます。
それはもう、本当にその通りだと思います。
ただの"悪い思い出"になってしまうか、もしくは"忘れ難い貴重な思い出と自らの経験値"とすることが出来るかは、受け取り方で随分変わってくるのではないでしょうか。

私は「予定通りに進まないのが当たり前」と自身にいつも言い聞かせ、スムースに行った時にはむしろラッキーと喜ぶ様にしています。
この考えを応用して(?)、旅先だけではなく普段の生活や仕事でも「自分が思うように物事が進まない」ことは"当然だ"と、思うくせを付ける様に心がけています。すると、すんなり上手く行った時には、大したことない事であっても充分に喜びを得られ、波に乗って進める気になれます。
いずれにせよ同じ結果を受け取るならば、その方がお得な感じ(笑)ですよね?

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そんなわけで、大なり小なり旅にはトラブルはつきものと聞きます…それでも、私にとって「旅」は、欠くことの出来ない大切なものです。
これまでに描いてきたほとんどの絵が、そんな「旅」の数々があったからこそ、生まれてきたものなのですから…。

今回 Teppei.Net の100万アクセス記念の品には"どんな物がいいだろうか?"と考えた時、そんな「旅の思い出の品物」達をご提供させて頂くのがピッタリかなぁと、思い立ったのでした。

以下、少し例を挙げてみますと…

イングランド北部、ケズウィックの街にある、世界で初めて鉛筆を作り世に送り出した「ダーヴェント」社前にて。
この色鉛筆も普段よく使っていますので、ちょっと立ち寄ってみました。
鉛筆博物館が併設されておりましたので、鉛筆や手帳、ピンバッジなどをお土産にしました。


もうすぐリリースされる「ブリッゲン」の小さな模型です。
ノルウェーの港町ベルゲンの雑貨屋さんで出会い、絵を描いている間ずっとアトリエの棚に飾ってありました。

 

上記の他にも、アトリエの引き出しやら棚やらから探し出して、10個ほどの小さなお土産グッズを選んでみました。
更に一名様には、「大当たり!!」として特別賞を決めてありますが、今は内緒です。
内容それぞれの公表は、抽選発表時にしようと管理人とも話しておりますので、それまでお待ち下さい。

現状のペースですと、100万アクセス達成は、ちょうどオフィスがお盆休みの間になってしまうかもしれませんね。
車の走行距離メーターが10万キロになる"その一瞬を見逃したくない"という感覚と近いのかもしれませんが、100万の0(ゼロ)がズラッと並ぶのを見てみたい気がします(笑)。

笹倉鉄平

2009年08月10日

暑中お見舞い2009



スコットランドから始まった今回の制作の旅も、スペイン南部へと移動して日本に戻りました。

こんな写真をご覧頂くと、ちょうどバカンス・シーズンですので、
何だか優雅な”夏休み旅行”と思い違いをされてしまいそうですが…(笑)。

いつもの様に毎日朝から晩まで歩いては野外でのスケッチ、
また歩いてはアイデア・スケッチ…の連続に、
むしろ普段のアトリエでの制作よりも疲れてしまうものなのです。

今回は、あるイメージが頭の中にあり、それに近い場所を探すのに苦労しました。
甲斐あって相応の手応えは得られ、嬉しく思っております。

そんなわけで、旅のこぼれ話はまた次回にでもさせて頂きます。
取り急ぎ、一言。暑中見舞いを兼ねまして…。

2009年 盛夏

笹倉鉄平

2009年07月24日

メールがグッと増えて嬉しいです‼

ここのところ、「祝100万アクセス」の企画で、頂戴するメールの数がグッと増えており、嬉しい限りです。
漏れなく全てを読ませて頂いておりますが、皆様からの応援のお声をダイレクトに受け取ることが出来て、絵を描く際のパワーとなっています。ありがとうございます!!
短いひと言でも、丁寧に思いを綴って下さったものでも、他では得がたい形の原動力となっておりますので、今後も、短いメールでも構いませんので、お時間に余裕がある時にお送り頂けましたら幸いです。

中でも新鮮に感じたのは、「良い機会ですので、初めてメールします・・・」というものが多いこと。
普段の生活の中でも何か"きっかけ"がないと、初めての方とお話するというのは難しいものですから、当然のことかもしれませんが・・・今回の企画が、その小さなきっかけとなったことを喜んでいます。

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さて、こんな質問を受けましたので、お答えしておこうと思います。
曰く『(鉄平先生の絵は)色々な大きさや形のキャンバスに描かれていますが、どうやって毎回それを決めてゆかれるのですか?』というものです。

アトリエには大小様々な形の木枠に張ったキャンバスが、(恐らく100枚以上)用意して置いてあります。
ハガキ大から畳一枚くらいのサイズ迄あり、特注で作った珍しいサイズや、縦横比率が極端な扁平形、円形や楕円形・・・本当に様々です。

描こうとしている絵のイメージは、頭の中にある時から大きさや形も同時に出来上がってゆきますので、"恐らくこれぐらいかな"と思うキャンバスを、置いてある中から2~3枚取り出して眺めれば、"うん、これだ!"という感じで一瞬にして決まります。
迷ったことはまずありません・・・自己流の変わった方法なのかもしれませんが、そういった自分の"カン"を信じているからだと思われます。

"カン"なんて、当てにならないものの様に思われがちかもしれませんが・・・勘というのは、実はそれまでの"多くの実経験の積み重ね"によって培われた"予測"であって、極端に感覚的なものでもないのでは・・・???

「勘違い」という言い回しが在る為、簡単に頼ってはいけない様なマイナスなイメージすら付きまといます。
しかし、その意味するところは、"勘"が"間違った"のではなく、誤った情報を信じてしまったことに起因するということで(辞書を引くと"思い違いのこと"と載っていますし)、必ずしも"勘"自体がいい加減なものということではないと思っています。

元来、あまり迷ったりしない性格だからなのかもしれませんが、キャンバスを選ぶ時だけでなく、次に描きたいモチーフを決める際も、頭の中にストックしている絵のイメージの中から、直感でパンと決まってきます。

仕事以外のことでも、悩み熟考して・・・ということはどうも苦手な様で、割合と直感や勘を重視することが多いです。そんな所が"アーテイストっぽい"と、周囲に云われたりもしますが・・・(笑)。

*       *       *       *       *

仕事先の福岡でこれを書いておりますが、この後すぐにヨーロッパへ旅立つ予定です。
とある目的もあって行くのですが――説明しだすと長い話になりますし、その機会が来た時にまたゆっくりお話することに致します。

そんなことで、7月下旬までは旅空の下で制作の日々です。
・・・取り急ぎ。

笹倉鉄平

2009年06月30日

ロンドン、ケンジントン公園からノッティング・ヒルへ…

過日のことになりますが・・・

「朝霧のケンジントン公園」を描き上げ、いつもの様に作品のコメントを書いた後、ふと思い出したのが・・・「ネバーランド」という5年?ほど前に見た映画でした。"確かロンドンの公園が出てくるシーンが印象的だったなぁ"と。

そこで、DVDのジャケットにある紹介の文章を読むと『1903年、ロンドン。緑まぶしいケンジントン公園へ散歩に出かけた主人公は・・・云々』と、あるではないですか。

"正にケンジントン公園?"ということで、早速、DVDを見て確認してみることにしました。

すると、ちょっと前までキャンバスの中でずっと見続けていた絵と同じ場所でのシーンが(映画の設定上ベンチが置かれていたり、全く同じというわけではなかったのですが)登場し、びっくりすると同時になんだか不思議な感じがしました。

自分の描いた絵の世界観とは違い、20世紀初頭当時の味わいある衣装をつけた沢山の人々が往来しているのですが、同じ場所・風景での描写に、実際そこにいた時に感じたこと等を思い出して感慨深くすらありました。

この映画では、「ピーターパン」原作者ジェームス・M・バリー卿と一人の少年の優しい心のふれあいが、ピーターパン誕生の逸話と共に描かれています。ディズニー版にみる子供アニメ的物語としか認識していなかった私の思い違いは払拭され、その原作が大人も感じ入る深い物語であることを知ったものでした。

「ピーターパン」の物語誕生の地であるケンジントン・ガーデンズ内には、J.バリー卿自らが寄贈した記念のブロンズ像があり、愛らしい姿を簡単にスケッチしてみました。

ここには描きませんでしたが、ピーターの下の高い台座には、ウェンディと兄妹、ティンカー・ベル、小動物などが精巧に配されており、とても凝った作りでした。

さて、ついでの話になりますが・・・
ケンジントン公園の北西にある出口から暫らく歩くと、蚤の市とアンティークショップで有名なポートベロー通りに出ます。

この辺りは、ノッティング・ヒルという地区になるのですが、生活密着型店舗が立ち並ぶ庶民的なエリアと南側の高級住宅街が並立し、歴史的にコスモポリタンな一面を持つ為に芸術家も集まり、現在は洒落た観光地にもなっている、散策コースとしては諸々に楽しい一帯です。

いつもの様に"描きたくなるシーン"に出会えないかと、周辺をくまなく歩き回っていると、ある映画に出てきた「The Travele Bookshop」という、小さな町の本屋に偶然出会いました。

それは、10年ほど前に制作された「ノッティング・ヒルの恋人」という映画で、ハリウッドの人気女優と、この街角に旅行書専門の本屋を構える冴えない男が 偶然出会って恋に落ちる、というおとぎ話の様なラブ・コメディ。そのロケで、店名もそのままに使われた店舗でしたので、早速に興味津々で入って・・・すっかり長居をしてしまいました。

旅好きな自分には、その名前だけでもそそられる本屋さんです。旅行愛好家が多いイギリス人の趣味を反映してか、旅行に関する写真集から地図、ガイド、エッセイ等、大充実で、"ああ、こんな本屋が近所に在ったらなぁ・・・"と、思わず羨望のため息をひとつ(笑)。

・・・ということで、今回はいつもと毛色が少々違う"作品こぼれ話"をしてみました。

笹倉鉄平

2009年05月30日

北欧 小ネタ・アルバム

先日「ヴィスビーのクレープリー」という作品が発表され、関するメールを沢山頂戴しました。
嬉しく拝読致しました・・・いつもありがとうございます。
多くのご感想をお寄せ頂いたということで・・・いい機会ですし、このページではまだ一度もしていなかった、昨年7月に北欧へ行った 時の話をさせて頂きます。
たまには、あえて『絵』から離れ、制作の合間々々に現地で見聞きした"ちょっとした話"を、写真と共につづってみようと思います。

ちなみに"ヴィスビー"というのは、スウェーデンの小さな島にある港町の名前です(詳細は 「アートテラスHP」の新作リリース紹介頁・画家コメント内にございます)。


こちらは、そのヴィスビーの町で唯一のスーパーマーケット内の写真です。
レジ付近のこのコーナーだけが派手な色で溢れているのですが、これは駄菓子(キャンディやグミやガム類)の数々で、広大な売り場を誇っています。
驚くのは、スーパーだけではなく、菓子屋は勿論、空港や駅のちょっとした店でも、雑貨屋でも、露店でまでも・・・ともかく立ち寄った北欧の町ほとんどで、こういった菓子コーナーのなんと多いことか!!
北欧といえば、"エコ先進地域で・・・"などと、何となく健康面でもヘルシー指向なイメージを勝手に抱いてしまっていたのですが、一見あまり身体に良くなさそうな色づけがされた、甘いお菓子が「大好き」という光景が意外でした。

 

同じくヴィスビーの女性服店ショウウィンドウで見かけた服(ワンピース?)です。
日本からここまで遠く離れると、漢字もオシャレなグラフィックに見えるのでしょうか?
Tシャツにデカデカと漢字がプリントされているのは最近よく見かけますが、こんな風にデザイン処理されてテキスタイルに取り込まれているのが、北欧らしいのかもしれません。
・・・それにしても・・・何とも・・・(苦笑)。

スウェーデンの首都ストックホルムの旧市街にて。
頭の中を、スウェーデン出身のカーディガンズの名曲「カーニバル」がエンドレスで流れる中、ふと気付いたのが、建物の壁面に張り付いていたコレ・・・どうやら配電盤か何からしいです。
普通は、灰色系に塗られている地味なものが多いですが、こんな風に遊び心を感じさせつつも、街の雰囲気や色合いともさり気無くマッチングを考えてある―そんな小さな配慮が美しい景観に与える影響は大きいんだろうなぁ・・・と。


毎度の如く、カフェにはよく立ち寄りました。
左はフィンランドの首都ヘルシンキで入った、とあるカフェの中の様子です。
映画「かもめ食堂」に見るが如き、すっきりとした雰囲気の良い所が多いのですが、北欧では立派な老舗であれイケてる最新のカフェであれ、どこもかしこもセルフサービスなので驚きました。
そして、基本アイテムとしてほぼ必ずあったのが「シナモン・ロール」で(写真右/一例です)、これがまたどこで食べても大変美味しいのです。濃い目のシナモンの香りとほどよい自然な甘みのバランスが絶妙で・・・すっかりクセになってしまいました。

所変わって、ノルウェーのベルゲンという港街。
写真集か何かで見て以来、20代の頃からずっと憧れ続けていた世界遺産の街です。
港に沿ったプロムナードで、ふと見かけたマンホールの蓋の絵柄がとてもイイ感じで、自分への土産代わりに写真を撮りました。

そのベルゲンの港には、新鮮な魚介を商う露店市がたつ一角があり、人出も多く活気溢れる場所です。
ランチ代わりに、プリプリの小エビのサンドイッチをパクつきながら付近を散策している時、魚屋のものらしい小型トラックが目に留まりました。
人魚の絵と抑制のきいたその色とデザインに、「・・・なかなかヤルな」と。

「ん?"Teppei's Pizza"?!」
これをベルゲンの街中で初めて見かけた時、何故か頭の文字「P」が一瞬「T」に見え、自分のサインの字体にどことなく似て見え、更には、絵によく登場させる様な街灯が真ん中にあるではないですか・・・意味不明な親近感を覚えてしまいました(笑)。

ノルウェー、オーレスンという町のヨットハーバーです。
その北緯は、ほぼ62度―というとカラフトよりも遥かに北、アラスカのアンカレッジと同じくらいの緯度にある、既に北極圏にも近い高緯度の町です。
"夕陽"を浴びておりますが、7月ですので、実はこれほぼ真夜中、なんと夜中の12時頃なのです。もう白夜に近い世界ですね。逆に冬場は、午後3時頃には暗くなる(!!)とのことで・・・世界は広いなぁ・・・。
そんな過酷とも思える環境を「当たり前」として受け入れ、苦とも思わず生活している人々や町には、いつも大切な事を教えてもらっている気がします。

 

昨夏のパリでの個展後、その疲れを癒したいと思って立ち寄った北欧だったのですが、短い夏を謳歌する美しい街並や自然を前にして、結局この旅でも、いつもの通りの「制作モード」へと、いつしか変わっていったのでした(笑)。

笹倉 鉄平

2009年04月02日

今“こんな時代”だからこそ・・・

展覧会等何かと慌ただしかった時期も過ぎ、制作に没頭できる毎日を過ごしております…ようやく、そんな代わり映えしない(笑)近況報告が出来る状態になりました。
ここのところ体調がとても良いせいか、絵のイメージも次々と浮かびますし、良い状態が長く続く様に自己管理してゆきたいと思っています。
まずは、少し前にNetのファンメール・コーナーに頂戴していたご質問にお答しておきましょう。
それは、デザイン画を描く際に困っているというご相談で、「どの様にすれば、頭の中に浮かんでいる通りのイメージを、上手く絵に描けますか?」といった内容でした。

よく分かります!!・・・とても難しいことですよね。
一般的な答えとしては、「絵として表現する力の基本となるデッサンをしっかり勉強しましょう」ということになるのでしょうが、それが簡単に出来れば苦労はないですし、ましてや、そのデッサン力だけで頭の中にある“こんな感じ”が上手に描けるかというと…う~~~ん、どうでしょう???
そこに近道があれば、お知らせしたいのはやまやまなのですが、「頭に在るこんなイメージ」を描くということに関しては、何しろ私自身も若い頃から今の今まで、実はずっーと苦労し続けているのです。

一つ言えるとすれば、「あ、この感じかも」という手応えを少しでも感じられるまで、繰り返し繰り返し描いてみるしか無いように思います。
例えるなら、スポーツにおいて技術が上達してゆく時の様に、体でコツを掴んでゆく感覚に似ているのかもしれません。
要は、数多く描きながら自分なりの表現方法を習得してゆくしかない様な気がしますので、頑張ってみて下さい。

※       ※       ※       ※       ※

さて、話は変わりますが、スポーツといえば・・・最近はご時勢的なこともあり、企業によるスポーツ活動等へのスポンサーシップからの撤退が目立っている様です。
休部や廃部などの状況下に追われた選手や関係者たちの心中は思いあまるものがありますが、企業側としても会社自体の維持存続が無ければ今後の復活や再生も無いわけすから、苦渋の選択を迫られて辛い思いであることは間違いないでしょう。
また同様に、多種多様な文化的活動も減少したり、予算が縮小されてゆく現状は、残念ではありますが、経済的な面から考えれば自明の理なのでしょう。

歴史的にも「経済が衰退する時代や国では、同時に文化も衰退する」というのが通説のようですが、今が正にそんな時の様に思えてしまいます。
経済的な“余裕”が無くなるにしたがって、“心の余裕”の部分である文化を削らざるを得ない方向へ向かってしまうのは、何とも悲しい流れです。

そんな時代に、自分はアーティストとして何をすべきなんだろうと、何度となく繰り返し考えたのですが、勿論、経済状況に対して直接的に働きかける術は全くありません。
行きつくところはたったひとつ、暗くなりがちな人々の心に“明るさを取り戻してもらえるような絵”を描くことしかないと思うのです。
厳しい現実を“忘れる”というよりも、そこに立ち向かってゆく“心の余裕”や、立ち向かった後の疲れた心を休ませる“やすらぎ”を感じて頂けるような作品を創り出して、観て頂くことをめざして・・・。

そして、そういった思いを抱く方々が、文化、芸能、スポーツ等多くの分野や、メディア、出版、そして勿論、この美術の業界にも、いらっしゃるに違いありませんので、私も前向きな気持ちを忘れずに頑張ってゆけると思います。

…なんだか偉そうなコトを大上段から話してしまった様で、お恥ずかしいのですが…今の正直な心境です。
こんなご時世なだけに、ちょっとネガティブな面の話になってしまいましたが、今回これ一度だけにとどめます。
このHPでは、明るい話題を中心にしてゆきたいですから・・・。

笹倉鉄平

2009年02月23日

ご来場ありがとうございました‼

2008年の年末からこの年始へと、年をまたいだ東京での展覧会には、何かと気忙しい時節ながら多くの方に起こし頂き、光栄かつ大変に嬉しく思っております。

初めて私の絵を見ましたという方もいらっしゃれば、久しぶりに来ましたという方や、また10年以上も毎度のように足をお運び下さる方々、色々だった様ですが、それぞれが異口同音に「これからも頑張って下さい」「いつも応援しています」「新しい絵を楽しみにしています」等々ありがたい言葉をおかけ下さり、画家としてなんと幸せなことかと改めて感じ入りました。
それをパワーに変えて、今年も新たな制作に向かってゆきたいと思っております。

さて、今展を振り返ってみますと・・・初日は開幕早々に、愛川欽也さん・うつみ宮土理さんご夫妻がご多忙の中、笑顔で駆けつけて下さり明るいスタートとなりました。
その昔、愛川さんが司会をされていらした番組への出演をきっかけに(若い頃ご自身が画家を目指していらした程、絵がお好きで)、その後私の個展においで頂きましたし、また、うつみさんは、ご著作の小説の表紙に私の絵を使って下さったり…のご縁です。
久しぶりにお目にかかって、お話もはずみました。

最終日には、十数年来応援を頂いている辰巳琢朗さんとお嬢さんや、作曲家の三枝成彰さんご夫妻、囲碁・棋聖の梅沢由香里さんをはじめ、お忙しいお時間の合間を縫っていらして下さった方々に囲まれ、にぎやかに幕を下ろすことが出来ました。

私自身は5回程会場に行っておりましたが、会期中にご来場頂いてお目にかかれなかったお一人お一人全ての方へ、感謝をお伝えしたい気持ちです。ありがとうございました。

そして更に今、何よりも気になっておりますのは、この展覧会をご来場の方々にお楽しみ頂けたかどうかという点です。

サイン会など直接お目にかかれます機会に、展示内容や絵に関しての感想を伺いたいのですが、何せゆっくりとお話が出来る状況では無い為、私自身もスタッフも、ホームページをご覧頂ける方には「是非メールで感想などをお聞かせ下さい」と、お声をかけさせて頂いている次第です。

実は、皆さんから頂戴する感想やご意見の中には、より良い展覧会を開催する為のヒントや手がかりがあったり、自分自身の作品を客観的に観ることが出来たり…といった、勉強させて頂ける部分があったりするからです。
お手間をおかけすることではございますが、展覧会の感想、ご意見、気づかれたこと、絵に対しての質問・疑問、どんな小さな事でも構いませんので、メールでお寄せ頂ければ嬉しいです。
ご質問等には、ここ「アトリエから」でお答え致しておりますし、また、シンプルな質問には「ファンメール紹介」のページにて管理人が代理でお返事をさせて頂いております。
(ちなみに、私宛に頂戴しておりますメールは全て楽しみに読ませて頂いております。)

例えば、年に何回かは必ず目にするメールでのお問い合わせに、「私の住む○○市で展覧会はないんでしょうか?」といった内容がございます。
思えばここしばらく、海外での個展開催が続いており、その準備や制作に追われて国内での開催が少なくなっていたように思います。

今年は、規模が小さな展覧会でもいいから、少数であってもオリジナル作品も携えて、東京・大阪以外の場所へも訪問が出来れば…と考えております。
とはいえ、本業である制作活動に支障がない程度になりますし、スタッフの方で会場やその他諸条件を整えてもらって初めて実現することですから、気持ちだけあってもとても難しいことではあるのですが・・・"トライする"精神で、少しづつでも頑張ってみようと思っています。
それでは今年も、私のホームページ「Teppei.Net」をどうぞよろしくお願い致します。

笹倉鉄平

2009年01月13日

迎春


Teppei.Net をお訪ね下さっている皆様、
そして、いつも応援をして下さっている皆様にとりまして、
良いことがギュウ・ギュウ・ギュウと犇(ひし)めく
2009年でありますように!!

 

何かと厳しいこんなご時勢だからこそ、
"楽しみ"を提供するのが(様々な分野の)アーティストの役割ではないかと感じています。
この閉塞的な気分を少しでも吹き飛ばせるような、
「気持ちのよい絵」を生み出すことを目指す一年にしたいと思っております。

笹倉鉄平
2009年01月02日