アトリエから 2001一覧

Merry Christmas !

Merry Christmas

2001

サン・レモ(イタリア)市街で見かけたウインドゥ・ディスプレイです。
写真を撮るのは得意ではないので、手ぶれをしてしまっていますが、雰囲気は届きますでしょうか?
店内では、イタリア語のジングル・ベルが流れていました。
クリスマス・ソングに聞き入る一日というのがあっても良いかもしれませんね。

メリー・クリスマス!
そして、良いお年をお迎え下さい。

Teppei Sasakura

2001年12月22日

画材店はワンダーランド!

しばらくの間、作品づくりに熱中していました。
体力的にも精神的にも一杯一杯でしたが、ようやく色々と一段落したので、気になっていたこのページを、今やっと書いています。

このところ朝晩がめっきり冷え込む季節になりましたが、ついついセンチメンタルな気分にもなり、「芸術の秋」と呼ばれるのもどことなく納得してしまいます。
絵の展覧会も多くなるこの季節にちなんで「画材」の話しでもしましょうか・・・。
僕がはじめて画材らしきものを使ったのは、おそらく12色程のクレヨンでしょう。
(3歳とメモがある古い写真に、絵を描いている僕と一緒に写っていたので)
子供の頃の遠い記憶なのですが、24色のクレヨンを持っている子がまぶしく見えて、いつか大きくなったら、もっと沢山の色のセットを買うんだ・・・なんて思っていました。

今でも大きな画材店に行くと、多くの色の絵具が棚いっぱいに並んでいるのを見るだけで胸がワクワクして元気になってくるのです。
きっと本好きの人が大きな書店に入ったときや、音楽好きの人がCDショップへ行ったときと同じような感じではないでしょうか。

時々、僕の使っている画材について質問されることがありますので、今回はそれにお答えしておきます。
優れているというよりも、感覚的なもので何となく使ってしっくりくるという選び方が多いようで、画家さんによって選び方は違ってくるのだと思います。

<油絵具>
メーカーによって作っている色が違い、在る色、無い色があるので、銘柄にこだわらず目で見て好みの色を探しています。
ルフラン(フランス)とレンブラント(オランダ)が多く、国内メーカーにも好きな色があります。

<アクリル絵具>
リキテックス(アメリカ)を美大時代からイラストレーター時代も含めて30年近く使っているので、かなり絵具の性格はつかめていると思います。
乾くとほんの微妙に色が変わるのですが、その具合も読めるようになりました。

<水彩絵具>
水彩画がさかんなお国柄ゆえ、イギリス製に品質が高いものが多く、ウィンザー・アンド・ニュートン(イギリス)を現在は使っています。

<筆>
絵具別に、ここには書ききれない程、様々な種類を使っていますが、割合的にはやわらかめの筆が多いようです。
油彩用には普通、豚毛を使うのですが、僕は日本製のハードリセーブルが気に入っています。
水彩は筆が命といったところがあるので、高価ですがラファエル(フランス)やウィンザー・アンド・ニュートン(イギリス)を使っています。

<色鉛筆>
気軽に使えて大好きな画材です。
ファーバー・カステル(ドイツ)を愛用していて、100色以上あると思いますが、それでも足りないときがあります。

<紙>
近ごろ淡彩画などで使用しているのは、MO紙という手漉き和紙(沖茂八氏のイニシャルをとって)とアルシュ(フランス)のどちらかが多いです。

他にもいろいろとありますが、今回はこの辺で・・・

皆さんも偶然画材店の前を通りかかられたら、一度立ち寄ってみてはいかがでしょう。
画材は他の使い道もあるので、以外と面白い発見があるかもしれませんよ。

笹倉鉄平

2001年11月16日

「チャリティご参加へのお礼」と「ボランティア国際年・絵画コンクール」について

遅くなりましたが、まずは「犬の絵画展」に沢山の方々にお越しいただき、また、チャリティにご参加いただき本当にありがとうございました。(詳細は前回のメッセージをご覧下さい。)

お蔭様で総額300,614円を、(財)日本盲導犬協会さんと(社福)日本ライトハウスさんへお届けできました事をここにご報告致します。

この展示会に関しまして、丁寧なメールも沢山いただき、また、遠くから心の中で応援して下さった事にも感謝感激しております。
今後は展示パネルを追加するなど、より内容を充実させて続けていこうと思っています。
さて、全く別の話しになるのですが・・・
今年、2001年は「ボランティア国際年」です。
これは日本が国連総会で提案し決議され、現在、内閣府が中心となってボランティア活動の普及、促進を各方面で推し進める活動をされています。

その中で、全国の小・中・高校生を対象とした「ボランティアに関する絵画」のコンクールがあり、2ヶ月程前になりますが、僕にその審査員長を・・・という依頼があったのです。
日頃、絵には優劣が無いのでは、と考えているので正直戸惑いましたが、今の子供達はどんな絵を描くのだろうと興味がわき、また職業柄こんな形での活動への参加もすべきだと思い、お引き受けしました。

内閣府での審査会の様子


応募総数1,554作品に目を通した感想は、全体的に漫画的な表現が驚くほど多くなってきているという事。
また、年齢が低いほど、明るい色が多くカラフルで、それは年齢が高くなるにしたがって減って暗くなる傾向があったという事でした。

絵の中に登場する人物の表情にも同じ傾向が現れていて、これも時代の影響なのかと、ずいぶん考えさせられました。

そんな中でも、時間をかけて丁寧に描いてあって、ホッとする作品があり、各部門(小中高)からまずは約50点ずつ選びました。
技術よりも絵にむかう丁寧な気持ちがボランティア精神に通じていると思ったからです。

そして、去る8月30日に、霞ヶ関にある内閣府において最終審査会が開かれ、各方面でのボランティアの専門家でおられる委員の方々(5名)とご一緒させていただき、お話しを伺ったり意見交換をしながら、先の50点の中より、内閣総理大臣賞、他各賞を選ばさせていただきました。
受賞作は各地のシンポジウムの会場で展示されますが、インターネット上でも掲載しておりますので、是非一度ご覧になって下さい。

僕なりの選考のポイントは、TVや本で見た世界ではなく、実体験を通して描いていて、その気持ちが伝わってくる作品を選んだつもりです。
描いた人の気持ちは僕の想像以上にわかりやすかったのです。
そして、これらは同時に描く対象をよく観察して表現していることにも通じていました。
「観察する」「よく見る」という事は、絵以外においてもとても大切な基盤となるため、この事を上手に子供達に伝えていかなくては・・・と、帰りの道すがら考えこんでしまいました。

実に良い経験をさせていただき、とても勉強にもなり、そして今後の課題も増え、また明日から自分なりに頑張って行こう!・・・の気分です。

笹倉鉄平

2001年10月04日

チャリティ「犬の絵画展」開催にあたって

犬が大好きで今まで多くの絵の中に登場してもらった。
----と言うより、ついつい描きたくなってしまうのですが・・・。
のほほんとした表情に心癒され、また切ない程の純朴さを持ち、決して裏切ることもない。
他界してしまった愛犬からも、どれ程多くの事を教えられたろう・・・いつも絵のモデルになってくれた犬たちに、何か僕に出来ることはないか、何かのお返しがしたいと思ったのが、この活動の発端でした。

「人のために働く犬たちが世の中にいます。」
「そしてその犬たちを必要としている人がいます。」
盲導犬、聴導犬、介助犬、警察犬、災害救助犬など、多くがあげられますが、普段「目」を使う仕事をしている画家として「盲導犬」をとりあげ、1年ほど前からスタッフ達と共に勉強を始めました。

例えば、日本における盲導犬の数はUSAの約10分の1以下であり、また、受け入れる側である社会にも問題があることを知りました。
このような事を伝えていく活動の必要性を感じ、日本盲導犬協会の方にご協力いただき、とりあえず数枚のパネルを製作しました。
そしてこの活動のために、1枚の水彩画を描きました。

「傘がさせる社会に」2001/水彩画

<管理人>  女の子が盲導犬に傘をさしてあげている…。こんな優しい気持ちって大切ですよね。
<ショム子> そう、こういう気持ちはとっても大切ね。
       でも実は、盲導犬に対して、周囲の人が気をつけなくてはいけない事があるの知ってる?
<管理人>  えっ、どういうことですか?
<ショム子> 安全のために、仕事中の盲導犬には、気を引くような事をしてはいけないんですって。
<管理人>  へぇー、じゃぁこの絵の中の盲導犬の気持ちって複雑ですね。
       実はとても嬉しいんだけど、でもチョット困っている・・・って感じかな。
<ショム子> そう、それを伝える為の絵なんですね。


これまでに描いてきた作品の中から、犬が登場している版画を選び展示し、ゆったりと観て楽しんでいただきながら、パネルで盲導犬についての事を知っていただいたり、また実際に、会場に盲導犬に来てもらったりして、受け皿の成熟を願い伝えていく活動としての「犬の絵画展」なるものを始めてゆこうと思いつきました。

状況が許す限り、これから日本各地を地道に廻っていくつもりですが、何ぶん費用もかかる事ですし、その他のチャリティ活動もありますので、せいぜい年に1~2ヶ所になることはご容赦下さい。
それまで長い目で待っていて下さいね。
あくまで、チャリティの精神は無理をしないで続けることですので・・・。

第1回として私の出身地である兵庫県からスタートします。
お近くの方は是非、気軽にお立ち寄り下さい。

また、盲導犬についてご興味のある方は「日本盲導犬協会」さんと「日本ライトハウス」さんのホームページにリンクしていますのでご覧下さい。

笹倉鉄平

2001年08月31日

感銘を受けた画家達

今年の夏は猛暑との予測を耳にしますが、もう既にバテ気味の方も多いのではないでしょうか。
でも、夏はまだ始まったばかりですので、「夏」しか楽しめないことは何だろう・・・等と思い浮かべつつ、乗りきりましょうね。

ところで、「祝福」DL版と呼ばれる作品をご覧いただけましたか?
これにも関連するので、今回はインタビューを受ける際に必ずと言っていいほど聞かれる、「これまでに影響を受けた画家は?」について書いてみます。

「この人」という1人をあげることは難しく、適確ではないので、いつもあやふやに答えてしまっているのですが、これは、今までにあまりにも多くの作品に感銘を受けてきたからなのです。
それらを全部書き出す事は不可能ですので、ここでは時代を追いつつ、ごくかいつまんでになりますが、ご容赦下さい。
子供の頃から、僕は絵を描くのが好きで、家中の襖や柱に落書きをしては周囲を困らせたものでした。
小学生の終わり頃だったでしょうか、当時、某社の「お茶漬けのり」の袋の中に、浮世絵の東海道五十三次が印刷されたカードが入っており、これが大好きで、カードを集めて応募し、送られてきた五十三枚の箱入りセットを宝物にしていました。
そして、机の引出しから取り出しては眺め、ため息をついて・・・(小学生にしては、ちょっとシブすぎるかも?)

これは言うまでもなく江戸の天才絵師「安藤(歌川)広重」の作品であり、思えば、おそらくこれが「絵」というものを意識した最初だったように思います。
数多く有名な浮世絵師はいましたが、その中でも広重の「江戸百景」には、後に美大生時代に改めて、構成力の凄さと、その粋(イキ)さに衝撃を受ける事になるのですが・・・。

中学生時代、バスケットボール部の練習がとてもハードで、またこの頃に始めたギターにも夢中で、絵は授業で描くくらいでした。
しかし、やはり絵が一番好きなんだということに気付き、高校に上ってすぐ美術クラブに入り、絵を描くことに熱中し始めたのです。
そして、19世紀後半からヨーロッパで花開いた「印象派」と呼ばれる画家たちが、浮世絵にも影響を受けたと知り(特にゴッホは有名ですが)、勉強すればする程、彼らの作品に魅かれていきました。
それまでの宮廷絵画を一新し、自分自身の印象を個性ある表現で描こうとする姿勢やそのムーブメントが浮世絵の時代にも通じ、また、少し飛躍しますがビートルズ的にも感じて、強く感銘を受けてしまったのです。

セザンヌやモネに始まり、美大の美術資料図書館でボナールやピサロを知り、素朴なルソーや、夢や詩を感じさせるシャガール等にも魅了されました。
また、イタリア美術や日本画にも興味を持ち、広告会社に入社してからはアメリカの画家やイラストレーターの作品とも接し、更に画家となってからは、前述以外の国々の有名無名を問わず多くの作品を観ては感銘を受けました。

結果、僕が思うのは、無理に描かされたものではなく、画家本人の内面が純粋に描かせた作品には全て心を打たれたということです。
その感動が胸の中に染み込んでゆき、自分自身の個性と混ざり合い、そしてまた新しい絵が生まれてくるような気がしています。

上わっ面を簡単にしか書けませんでしたが、とにかく僕は「絵」というものが大好きなだけなのです。

笹倉鉄平

2001年07月19日

まる2ヶ月も・・・

つい先日、やっと1枚の絵が完成しました。
イタリアから帰国してすぐにとりかかったというのに、気がつけばまる2ヶ月も経ってしまっていて、その間、土日も関係無くアトリエでの作業にどっぷりつかっていましたので、今は浦島太郎の様な気分です。

きっとカンの良い方は、このページの更新がしばらくなかったので、「そんなことではないだろうか」とわかっておられるかもしれません。・・・はい、ズバリです!

現在、この絵はLos Angelsの版画工房に行っており、皆さんに見ていただけるのはおそらく秋頃になります。
その時に絵の内容についてはお話ししたいと思っています。
きっと、絵から「楽しさ」を感じていただけるのではと期待しているのですが・・・。
さて、今はといいますと、もう次の作品制作に入っています。
まだまだ、「伝えたいこと」「表現したいこと」が未消化の状態でたまっている感じだからです。
体力がもっとあれば・・・と思うのですが、頭もたまにはゆっくりと休めてやらないといけないなぁと、これを書きながら今、反省しています。

職業柄どうしても運動不足になりますので、良い制作の為に頭と身体の若さを保たねばと思い、とりあえずは「できるだけ歩く」ことにしています。
たまにスポーツクラブへ泳ぎには行きますが、普段からの「習慣」のほうが身体への効き目が断然違いますから・・・。

そして、仕事上の考え事などもこうして歩きながらすると、前向きでよい案がいつも浮かびます。
座ったまま考えこんでも、ふさぎこんでしまい良いアイディアは出てこないのが自然でしょうから、そんな時おっくうがらず外へ出てみるのが何かと良いようです。

それから、身体と心は密接に関係していますから「食習慣」も大切にしています。
夕食は量を少なめにして朝昼食を中心にしていますが、なるべく野菜をとるように心がけています。(あまりにも当たり前のことで書くのも恥ずかしいですが・・・)
そんな中で僕の好物である豆類(豆腐など)は、心を安定させる為に効果があると聞いたことがあります。
これで後は禁煙できれば言うことなし!なのですが・・・・・う~ん、これが難しいのです。

笹倉鉄平

P.S.梅雨も、美味しいお米や野菜の為だと思うと、何かありがたい・・・・・

2001年06月22日

帰国報告

先日、トラブルもなく無事イタリアより帰国致しました。

到着早々、現地で集めた資料で一杯になった荷をほどき、早速、新しい作品の制作にとりかかりました。
できる限り早く、まだイメージが熱いうちに、おおよその下図をとっておきたかったからです。

特に今回は、具体的ではないイメージが頭の中に漂流していたので、(うまく説明できませんが・・・)画面上で直接手を動かしながらでないと、絵として「定着」して行かないものなのです。

シチリア島/アチ・カステッロ海岸にて

とりあえず、やっと数枚のラフスケッチが出来、これから順不同で描いていくわけですが、ここへきて、やっと気持ちが落ち着いてきたところで、少々遅れてしまいましたが、今、皆さんへの帰国第一報を書いているところです。
旅に出かけるときは、ひとつの国で同じ地方に長く滞在することが多いのですが、今回は異なる文化を持つ地方を、一度に色々と見てみたいと思い、南のシチリア島から中部のローマ近郊の街や村々、そしてスイスの香りが漂う北部まで廻って来ました。
現在はひとつの「国」として呼ばれていても、特色ある地方々々の共同体であるという印象が強く残りました。

歴史を考えれば、そうであってあたり前で、イタリア以外でも同じように感じた国は多いのですが、比較的日本はバラツキがなく均一に発展している為、そう感じるのかもしれません。

滞在中は題材を求めて、足が棒になる程よく歩きました。(いつものことなのですが・・・) 
途中、長い下り坂を歩き過ぎて膝を痛めてしまい困りましたが、それも歩きながら治ってしまったので、普段からなるべく車を使わずに歩くようにしていてよかったと痛感しました。
そして、つい忘れがちですが「気力は健康の上に乗っかっている」んだなぁ・・・と改めて思います。

今回の旅の詳細はこれから描く絵と共に、ひとつづつお話ししていこうと思います。
また皆さんも、ご質問や「旅」のお話しなど、気軽にメールを下さいね。
お待ちしています。

笹倉鉄平

P.S. 留守中に届いていた皆さんからのメールも、帰国後すぐに読ませていただきました。
   いつも同じ言葉で足りない気持ちがしますが、心をこめて・・・「ありがとう!!」

2001年05月03日

シチリア(イタリア)から・・・


「ボン・ジョルノ・トゥッティ!!」今回はイタリアからお届けします。

日本を発ってから半月ほど経ち、和食が恋しくなってきた今日この頃です。
こちらの気候は日本とほぼ同じくらいだと思うのですが、やはり日本同様、南北に長い国ですので、北と南とでは随分差を感じています。
その上、三寒四温の春ということもあり、日によっても、また時間によっても気温差が大きいため、衣服で調整するしかないのですが(1日中ほとんど野外にいますので)なかなか難しいものです。

日本の桜は今年、ずいぶん早かったそうですね。
お花見ができなかったのが残念でしたが、ここシチリア島では今、ミモザとアーモンドの花が満開で、違うお花見を楽しんでいます。

風に身を揺らすオリーブの古木や天に向かって伸びる糸杉、そしてオレンジ(一大産地)の花の香りもとても爽やかで、これら全てが心を解放してくれ、制作意欲を刺激してくれます。
このイメージをなんとか絵に表現して、秋の個展で皆さんにもお届けしたいと思っています。
ところで、今年が「日本におけるイタリア年」だという事をご存知でしょうか。
これは5年前に(イタリアで行なわれた)「イタリアにおける日本年」を受けて、両国の政府機関や民間企業などが、イタリアの魅力ある文化を日本に紹介しようとするものです。

僕も数多くイタリアを題材に絵を描かせていただいてきたので、僕なりに微力ながら参加しています。

実は昨日まで日本からのTV取材が入っていて、僕の制作の様子などを撮っていただきました。(紹介される時間は短いですが、10月頃の放送予定です。決まりしだいお知らせします。)

僕の希望でエトナ山(3323m)のふところ深くまで、現地のドライバーさんにロケバスで行ってもらえたので非常に助かり、また気に入った場所にも出会え、有意義な結果となりました。無事に終了し、ホッとして今これを書いています。
先に帰国するアートテラス(僕のオフィス)のスタッフに、この文章と写真のNet上への掲載を託し、僕はもうしばらくいろんな街を廻ってみようと思っています。

つづきは帰国後ということで、それまで「アリベデルチ・グラッツェ!」

シチリア島にて

笹倉鉄平

2001年04月13日

アトリエの音楽

ようやく春らしい日が続くようになり、冬の間中縮こまっていた身体も弛むようで、気持ちもやわらかく軽くなるような今日この頃ですね。

さて、このところ、2月にリリースした作品「フロム・ザ・パスト」についての感想をメールで沢山いただいて、本当にありがとうございました。
「あっ、僕と同じような考え方の人がいるんだなぁ」とか、「ちゃんと伝わっていて嬉しい」と感じたり、「若い人にはこんなふうに感じるのか」と教えられたりして、結果、やはり描いてよかったなとしみじみ思いました。
そんな、お一人お一人にメールの返事を書きたいと、読ませて頂きながら思うのですが、数的にも時間的にも、とても不可能なことですから、せめて、多い質問からお応えして行こうと思います。

さっそく今回は、前回のお約束通り目立って多かった質問で「どんな音楽を聴きながら絵の制作をしているのですか?」についてです。
10代の頃から絵と音楽が大好きでしたから、これまで時代の流れとともに色々なジャンルの音楽を聴いて来ました。
その中で、アトリエで流す音楽となると少し傾向があるように思います。(・・・などと、今ごろ分析しながら書いているのですが・・・)

静まりかえったアトリエに一歩足を踏み入れた時、部屋中にピンと糸がはりつめられているように感じてしまって、(そんな緊張した気持ちでは自由な発想も出てこないし、絵筆の動きも固くなるものですから・・・)とりあえず何かやわらかい音楽を流します。

ここ数年、この役目をしてもらっているのは「ボサノバ」がとても多く、流れはじめたとたん、空気中の緊張の糸はまるで綿菓子のアメのようにフワッととけて消えるような感じがします。

僕の好きなカエターノ・ベローザも「沈黙よりもいいのはジョアンの曲だ」と云っているように、ジョアン・ジルベルトのギターとつぶやくような歌は、まさに部屋中の空気をやわらかくしてくれますので、どのアルバムでもいいですから是非一度聴いてみて下さい。

また、人の声よりもギターの音だけが聴きたい時があって、そんな時には、バーデン・パウエルもおすすめです。(「テンポ・フェリス<幸福な時>」という曲が僕はとても好きなのです。)
他にも、ルイス・ボンファやスタン・ゲッツなど・・・・・仕事中にもボサノバはよくかけています。
コードのキーが半音ずつ下がっていく独特の曲調は、肩から余分な力が抜けて行き、解放されて行きます。

邦楽でもこの解放感は「小野リサ」さん(近頃出たアルバムの中では昔からのスタンダード曲を集めた「ドリーム」がおすすめです)とか、快適な感じは「ゴンチチ」さん(たくさんCDが出ていますが、どれもイイですよ。)をよく聴いています。

その他、変わったところでは、川のせせらぎの音や鳥の声など自然の音だけのCDも時々かけています。

総合してアトリエでは心安らぐ音楽が圧倒的に多いようです。(でも、たまには気分転換にヘビーでハードなロックを聴いて快適になれる時もありますが・・・)

そんな中、CDがいつのまにか終わっていて、その後長い間気づかずに絵を描いていた・・・ということがよくあります。
僕が音楽から絵の世界に入り、その中で遊んでいたのでしょう。この時はとても嬉しく感じるのです。

・・・まだまだ音楽については書き足りないので、続きはこの先いつかまた書かせていただくとして、次回はおそらく海外からのお便りになると思います。
では。

笹倉鉄平

2001年03月23日

僕の絵が出来るまで

つい先日、昨年末からとりかかっていた絵がようやく完成し、今はまるでボロぞうきん(?)のような状態です。

作品の「仕上げ」の時期(大きさによってまちまちですが、約10日間前後)は失敗が許されず、特に精神集中が必要なので、他には何も手につかないのが現状です。
この時期は新聞やテレビさえ目にすることがないので、社会からはずれ落ちてしまう感じです。
移動中の時間などを利用して書きかけていたこのページの文章も途中になったままでしたので、今やっと書き直しています(社会復帰?)。
さて、皆さんからいただくメールの中で、よく「アトリエの様子」や「絵が出来るまで」に関するご質問をいただき、お答えしようと思うのですが、とても1度には書ききれませんので、少しずつお答えします。

今回は先にも触れましたが「制作状況」について続けますね。

旅先で様々な情景に出会い対面しているうちに、何となく絵のイメージ゙が湧いてきたり、また、もともと頭の中に固まりきれないウスボンヤリとした映像のようなものがあって、それをとりあえず鉛筆などで紙に書いてみたり、そのイメージ゙にあうモチーフを求めて旅に出かけたりすることから始まります。

このとき大切なのは「何が描きたいのか」「思いをどう伝えたいのか」といった自問自答を繰り返すことだと思い、いつもなるべく真っ白な気持ちでチャレンジしようと心がけています。
まだまだ型にはまる事は拒否したいですし(若いですから!?)、自分の表現力の無さを常に感じていますから、「こうしてみたら・・・」「ああしてみようか・・・」のオンパレードで尽きることがありません。
そんな具合ですから、描き始めても途中で止めてしまい、別のキャンバスを取り出し新たに描き出すこともあります。

ただ、昔は出来なかったのですが、今では実際に絵具を塗っていかなくても、目と頭だけを使い想像で描き足したり、直したりと、ある程度先へ進められるようになりました。
・・・・・説明しづらいですが、将棋の先の手をプロなら読んでいける?様な感じとでもいうのでしょうか。
もしもハタから見ているとすれば、絵を前にして何もせずボーッと座っているようにしか見えないでしょうね。(少しアブナイ感じかも・・・)

そしてある程度絵具を置いてゆき、またその先を・・・と、そうこうしているうちに、あやふやだったものが平面に定着して行きます。
こうして出来あがって行く過程が、大変だけれど僕にとっては楽しいのです。
もちろんスケッチ画的なものは少し違って、もっとストレートな感じですが・・・。

そして完成された状態が想像できたとき「仕上げ」に入りますが、それでも自分の思いとのギャップがまだ埋まらない所があり闘うのです。
そのストレスは表現者、制作者である以上あって当たり前のものですし、次への意欲にもつながっています。
その結果、今の自分にはこれで精一杯と感じたとき、自然に筆を置きます。

完成後もしばらくはテンションが高いままで(それは制作期間が長ければ長い程)、「あー終わったんだなぁ」としみじみ思いながら2~3日かかって普段の状態に戻るような感じです。

色々な画家さんのタイプで全く異なると思いますが、僕はこんなふうにチョー地味な感じでやっています。
次回はアトリエで聞いている音楽について(こちらも質問メールが多いので)など、お答えしてみようと思います。
では、今度こそ近いうちに・・・

笹倉鉄平

2001年03月01日