感銘を受けた画家達

今年の夏は猛暑との予測を耳にしますが、もう既にバテ気味の方も多いのではないでしょうか。
でも、夏はまだ始まったばかりですので、「夏」しか楽しめないことは何だろう・・・等と思い浮かべつつ、乗りきりましょうね。

ところで、「祝福」DL版と呼ばれる作品をご覧いただけましたか?
これにも関連するので、今回はインタビューを受ける際に必ずと言っていいほど聞かれる、「これまでに影響を受けた画家は?」について書いてみます。

「この人」という1人をあげることは難しく、適確ではないので、いつもあやふやに答えてしまっているのですが、これは、今までにあまりにも多くの作品に感銘を受けてきたからなのです。
それらを全部書き出す事は不可能ですので、ここでは時代を追いつつ、ごくかいつまんでになりますが、ご容赦下さい。
子供の頃から、僕は絵を描くのが好きで、家中の襖や柱に落書きをしては周囲を困らせたものでした。
小学生の終わり頃だったでしょうか、当時、某社の「お茶漬けのり」の袋の中に、浮世絵の東海道五十三次が印刷されたカードが入っており、これが大好きで、カードを集めて応募し、送られてきた五十三枚の箱入りセットを宝物にしていました。
そして、机の引出しから取り出しては眺め、ため息をついて・・・(小学生にしては、ちょっとシブすぎるかも?)

これは言うまでもなく江戸の天才絵師「安藤(歌川)広重」の作品であり、思えば、おそらくこれが「絵」というものを意識した最初だったように思います。
数多く有名な浮世絵師はいましたが、その中でも広重の「江戸百景」には、後に美大生時代に改めて、構成力の凄さと、その粋(イキ)さに衝撃を受ける事になるのですが・・・。

中学生時代、バスケットボール部の練習がとてもハードで、またこの頃に始めたギターにも夢中で、絵は授業で描くくらいでした。
しかし、やはり絵が一番好きなんだということに気付き、高校に上ってすぐ美術クラブに入り、絵を描くことに熱中し始めたのです。
そして、19世紀後半からヨーロッパで花開いた「印象派」と呼ばれる画家たちが、浮世絵にも影響を受けたと知り(特にゴッホは有名ですが)、勉強すればする程、彼らの作品に魅かれていきました。
それまでの宮廷絵画を一新し、自分自身の印象を個性ある表現で描こうとする姿勢やそのムーブメントが浮世絵の時代にも通じ、また、少し飛躍しますがビートルズ的にも感じて、強く感銘を受けてしまったのです。

セザンヌやモネに始まり、美大の美術資料図書館でボナールやピサロを知り、素朴なルソーや、夢や詩を感じさせるシャガール等にも魅了されました。
また、イタリア美術や日本画にも興味を持ち、広告会社に入社してからはアメリカの画家やイラストレーターの作品とも接し、更に画家となってからは、前述以外の国々の有名無名を問わず多くの作品を観ては感銘を受けました。

結果、僕が思うのは、無理に描かされたものではなく、画家本人の内面が純粋に描かせた作品には全て心を打たれたということです。
その感動が胸の中に染み込んでゆき、自分自身の個性と混ざり合い、そしてまた新しい絵が生まれてくるような気がしています。

上わっ面を簡単にしか書けませんでしたが、とにかく僕は「絵」というものが大好きなだけなのです。

笹倉鉄平

2001年07月19日