アトリエや旅先から届いた、笹倉鉄平のメッセージを掲載しています。

アトリエから

2008年06月09日/版画「芸術橋の上で」の作業中です

ここのところ取り組んでいた作品がいくつかあったのですが、ようやくそれらが仕上りましたので、暫らくぶりでこの頁を書くことに致します。

現在は、先日オフィスの方で発表がございました版画の「芸術橋の上で」に、アクリル絵の具で小さな加筆をしている真っ最中です。

版画のインクとアクリル絵の具は、画面上での質感が違いますので、加筆部分だけがあまり目立ちすぎてしまわない様に、まずは刷り上った版画にバーニッシュ(=版画の表面を保護したり光沢の為に載せる透明のニスの様なもの)をかけずに工房から預かり、絵を描き入れた後、再度工房へ持ち込みバーニッシュの処理をして完成させてゆきます。
つまり、そのバーニッシュ・コートによって、手描きした小さな小さな原画部分も保護される効果があるわけです。

版画の表面というのは、とてもデリケートなものですから、鉛筆や消しゴムなど当然使うことが出来ませんので、下描き無しで細い筆を使って直接描いています。
失敗出来ないという緊張感と、画面の他の場所に絵の具を付けたり、手で汚したりせぬよう注意したりと、想像以上に神経を使います。

しかし、それ以上に予想外で大変なのが、描き入れる人物などの絵のパターンを150通り全て違うものにしてゆくということです。
自分なりにストーリーを感じることが出来る様に人物や犬などの設定を考えてゆくのですが、その新しいアイデアが浮かぶと、静かにガッツポーズをしつつ、何だかホッとして画面に描いていっています。

また、一枚一枚それぞれに差が出ないように、バランスが均等になるように同じくらいの時間をかけて描くようにも心がけています。
元はといえば、「一枚づつが部分的にちょっとずつ違う版画があったら、おもしろいのでは?」という好奇心に後押しされて始めたことでしたし、限定数も通常よりかなり少ない枚数にしましたので、大丈夫かなぁと考えていたのですが、紙の上と違って何度も同じ箇所を重ね塗りしますので、時間が思いの外かかってしまいます。

"新しいことをやってみよう"という精神が、常に自分の制作モチベーションにもなっているのですが、今回は少しだけ読みが甘かった感があります(笑)。
恐らく、今回の様な形の版画は今後もう作らないと思いますが、挑戦してみようと思ったからには、パリでの個展開催の記念(というか記憶)に結びつくものになるように、前向きに集中して、ここ暫らくの間はこの作業を続けたいと思っています。

笹倉鉄平


P.S.つい先日、1月に訪ねたカンボジアの学校の子供達から「頂いたクレヨンを使って描きました」と、たくさんの絵が日本に届きました。
子供達から、またこうして"元気"をもらえました!!

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